旅21
はい、もちろん王都には全く問題なく到着いたしましたと
それにしてもギガホースちゃんつっよつよだねぇ
途中で大きなライオンみたいな魔物が出てきたんだけど、一蹴して倒してた
あの太い足で蹴られたらそりゃひとたまりもないね
「ここもおっきな街~」
やっぱり田舎の村しか知らなかったフィオナちゃんとメアリーにとっては大都市は目を見張るものがあるらしく、ローリュの時と同じくただただ驚いてる
「あそこが王城だね。なんかお城もすごいね」
「電気も通ってるみたいでけど、どうやって発電してるんだろう? ここに滝なんてないし」
そうやってキョロキョロ見渡してみると、少し離れたところにある小高い丘に風車がたくさん見えた
これでわかった
海が近いこの王都、ここには海風が吹いてくる
その風を使って風力発電をしてるんだ
とはいってもこれだけ大きな街全域を賄えるだけの電力はできない
だから王城と主要施設だけ電気が引かれてるんだ
まあ電気が無くても魔法で灯りが作り出せるし、カンテラやらたいまつやらあるからそこまで暗くはならないんだけどね
「取りあえず王城へ行こうか」
「うにゃ」
荷物も持ったままで、馬車から降りたその足で王城へ向かう私達
王城は街の中心部にあるみたいだね
その周りに貴族区画、その周りに商業区、そして一般市民が住む居住区になってる
一般市民も皆生き生きと生活してることから、この国も豊かだってことが分かる
活気がすごーい
「あ、商業区が見えてきたわ」
メアリーの指さす方向は様々な店が立ち並ぶ商業区。おもちゃ屋もあるため三人は目をらんらんと輝かせてる
ふふふ、所詮まだまだ子供よのぉ
でも今はグッと我慢して、三人は商業区を抜ける
そして貴族区画へ
貴族ってなんか悪いイメージしかないけど、この世界は意外とまともな貴族しかいないみたい
ぐっへっへーって言いながら町娘を攫って無理矢理―とか、わいろを受け取ってお主も悪よのぉとか、無実の人に罪を着せて財産を没収ぐっはっはーとかない
というのも魔王が定期的に世界を危機にさらすため、人類が一致団結しておかないと立ち向かえないから、自然とそういう悪は淘汰されて行ったってこと
魔王がいることが人々を結束させたんだね