地獄の一丁目
「……俺は死んだのか?」
疑問符ばかりが頭をよぎる。
全体的に暗い、だが目の前が見えないほどではない。
足元は砂利道だ。
少し大きめの、拳よりは小さい石がゴロゴロと落ちている。
歩きにくいということはない。
遠くには滝のような音が聞こえる。
河だろう。
「三途の川か」
思わず口に出した。
そうかも知れない、違うかも知れない。
わかっていることといえば、ここが今までいた世界とは全く違い、誰もおらず、もはや死んだ世界だということだ。
その時、急に前にツンのめる。
歩こうと一歩を踏み出したはずが、世界が逆転して、グルグルと上下左右前後が入れ替わっていく。
「起きましたっ」
誰かが俺の顔を覗き込んで叫んだ。
何やら電子音や、声や、何かが聞こえる。
日本語かと思えば、英語かもしれないし、他の言語にも聞こえる。
しかし、さっきの世界とは違って、生者の世界だ。
生き返ったのか、ぼんやりする頭で、そんなことを考えていた。