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怠惰の王は冰焔を統べる  作者: リディリエル(四葉 六華)
第一章 黒歴史、再生!
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1‐1.(……あ。金持ってねぇ)

第一章予告!

自称神様の渾身のお願いにより異世界に生き返ることになった零。願いを叶えるかわりに自称神様の力の封印を解くようにお願いされたのだ。転生して三年あまりを自堕落に過ごしていたが、ある日「迷惑な客たち」がやってくる。果たして彼はちゃんと対応できるのか。プッツンしないかが作者的に一番心配です。


次章、「黒歴史、再生リヴァイヴ!」


『はい。ここが、私の居場所です』


※やってみたかっただけです。

※予告は告知なく変更する場合があります。


──気が付くと、真っ白な部屋にいた。


上下左右前後全てが白く、自分の体すら見えない。

この事態に、この部屋にいるただ一人(?)である真白 零は、一つの結論を出した。


(……あぁ。死んでるからか)


時計もカレンダーも無いので、今が何時なのかはわからない。しかし、自分はさっき死んだはずだ。


色々とイレギュラーな病気であり、他人に感染することはない(・・)。そのおかげか、かかった人数も少なく、特効薬も免疫もない

死ぬしか、解放される術はない。あれは、そういう病気だ。


(……親友は、たぶん来る。USBもデータの移動は終わってる。伝えるべきことはメールで送った。アイツのことだから、色々回収していくだろう。その後は、病院側に丸投げだな。夜の食事持ってきたときに発見するだろう)


零は、置いてきた数々の爆弾の行方を予想する。半分くらいは親友が、もう半分は病院側に行くだろう。死んでるので何も飛んでこないことは幸運だ。


未練はある。が、もうどうしようもできないのだ。今できるのは、思考することくらいである。


(……あ。金持ってねぇ)


挙句の果てに、行きついた思考がコレである。三途の川の話だ。

仏教を信仰しているとかではなく、少し調べたことがある程度だが、つい気になった。

本気で気にしている訳ではないのが、零らしいというかなんというか。


(……ま、いいか。四十九日経てば、なんかはあるだろうし)


それでもって、この適当さ。

どうでもいいことは特に気にしないのが、零である。



変化があったのは、一週間後くらいであった。ただ、零の時間感覚は適当で、大体十日くらいかなと考えている。

ちなみに、シロオンでの一日は十六時間だったので、十日くらいという感覚も(シロオンプレイヤーからすると)間違ってはいない。どれだけの時間をつぎ込んでいたんだ。 


「ふぅ……ギリギリセーフ、ね」


突如現れた、(零からすると)侵入者。侵入者はその辺にイスでもあるかのように座っている。


生前では味わえなかった、時間を気にしない過ごし方を楽しんでいた零。

零がとった行動は──


「わわわっちょっと待って!?」


その声を聞き、行動を停止する零。

……体が無いので、行動は予測するしかないのだが。

とにかく、零は動きを止めることにした。敵意がないなら、退散してもらおうと思っている。



侵入者は、少女らしき人だった。まあ、人間ではないことは確かなので、死神とかそういった類の人外だろう。

緑色の髪をポニーテールにしてまとめている、髪と同じ色の瞳を持つ少女らしき者。

美少女の囲いにおさまるレベルには顔が整っている。体重は軽い方だろう。つまり、ない。

それでも、世の中の同じくらいの年齢の男子ならお近づきになりたいと思うだろう。


……とはいえ、零からすると侵入者である。


(早く帰れ)


それ以外の考えはない。せっかく自由に過ごせると思っていたのが、侵入者に邪魔をされた、くらいの考えである。相手の事情など考えない。


この少女、実は神だ(予想出来ることだが)。

零の力を見込んで、お願いに来たのだ。

神様らしく、地上には干渉できないので。

かなり位の高い神で、それなりに有名なのだが……零はそんなこと知らないので、侵入者以外の記号を持たない。


「えぇーっと……名前からかな。私の名前はリエルリィア。地球の人だと、異世界神、と言ったらわかるかな」


異世界。

一部の人たちが狂喜乱舞しそうなワードだが、零は無反応である。

知らないとかではなく、純粋に興味がないのだ。


サブカルチャー自体は知っている……というか、かなり詳しい。

零がシロオンにハマる前は、オンライン小説を読んで暇を潰していたのだ。

テンプレ小説や書籍化した小説のも読んだことがあり、大体の方向性は知っている。

そして、テンプレ街道をわざと外れる小説が零の好みだ。

それでも、自分がなりたいとは思わないし、小説みたいなご都合主義などない。


(……早く帰れ)


異世界という存在自体が怪しいし、異世界神といわれても「あ、そうですか。で?」が零の本音である。

自分にそれを告げてどうしようというのだろうか。


「つれないねぇ。せっかく第二の生を持ってきたのに」


(あ、そうですか。出口からお帰り下さい)


ここに来た時点で人外である。そして自称ではあるが神だと名乗っている手前、口には出せないが、帰れと言いたい。

平穏と“無”を求める零にとって、目の前の者は誰であろうが邪魔である。

あと、この部屋に出口があるのかは零も知らない。しかし、入れるのだからきっと出られるのだろう。


「わー待って待って。お願いだから転生してぇー」


(断る。……あ、思考読めるんだ)


今更ながら思考が読めることに気付く零。わざわざ声に出さなくていいので、便利だ。

そもそも、声が出せるのかどうかも知らないが。


「お願い一つ叶えるからさぁ。何でもいいとは言ってないからね」


(願い、ねぇ。……地球に帰りたいとか)


未練たらたらな零だった。

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