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世界の滅亡を望んだ俺が異世界を救う  作者: ネオダーク・ファルラ
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プロローグ ~何かがおかしい異世界転生~

俺の名は九龍侍くりゅうじ 蒼真そうま。 27歳独身、男性社会人。


子供の頃から特に目立つこともなく成績は良くも悪くもない学生生活を送り、スポーツも並、勉強も並、努力しても報われる事なく中小企業に勤めるサラリーマンとなり…


8月が過ぎたというのに太陽の日照りがアスファルトから妙な臭いを立ち昇らせる。


(畜生…なんなんだ…)


会社では自分なりに考えて良くしようと考えても上司からは一々文句を言われ、通勤・帰宅の途中でも周りの中年がやたら難癖をつけてくる。


家に帰っても一人暮らし…


そして俺はこう思い始める。


こんな世の中滅んでしまえばいいのに…


そんな絶望に老け込んでノロノロと見回りの最中、横から声を掛けられる。


「ちょい、そこのあんちゃん」


「・・・・・・・・・・」


「あんちゃん、この世の全てに絶望してるって顔してんね」


「・・・・・・・・・・あぁ?」


気だるそうに反応して振り向いてみると、気温30はある直射日光の下でやたら厚着をしている…男?ホームレスか?


「…絶望してたら何だってんだよ」


無視すれば済む話なのだが、だるさと疲労で判断力の低下からかつい返答してしまう。


「なぁに、そんなあんちゃんにいい話があるんだ。ちょいとした実験に付き合ってくれないかい?報酬は今の考えが180度変わる素敵なご褒美だよ」


(なんだ…よくある勧誘かよ)


小ばかにするように鼻で笑う。


「信じるか信じないは自由だが、実際にあったら乗ってくれるかい?」


「本当にそんな実験があるんだったら試してみたいもんだね、ありえるわけねーけどな」


吐き捨てるように了承して会社へ戻るための道に歩を進める。


「・ ・ ・ オッケー お一人様ごあんな~い」


やたら頭に響いてくる声に対して思わず振り向く。


先程までいたボロの男の姿は最初からそこにいなかったように消えていた。


「・・・・・・幻覚でも見てたのか?」


疲れが脳に達しているのかもしれない。


流石に休みを取るかないかしないと危険・・・?


「あれ―――」


ふと、急に自分の周囲に影が浮かび、不意に真上を見上げる。


本当に偶然なのか、高層ビルの工事をしていたクレーンの鎖が切れ、数本の鉄骨が俺の真上に落下する。


周りには危ないとか逃げろとか叫んでる人がいる。


それが明確にわかるぐらいのスローの世界…あーこれ、人が死ぬ瞬間の―――








――――俺は…死んだのか…


特に何事もなく、何の変哲もない日々を送り続けて、俺は唐突に死んだのか。


まぁ別にいいか… どうせ何も良い事なかったし…こんな最期でも…


「起きなさい」


ふと、目が覚める。


「ここは…天国か?」


「違います」


何もない空間に俺の言葉に答える相手がいる。


声のする方向に顔を向ける。


天使――ではなくまるで漫画の世界に出てくるような竜の…竜人?


「ひ、人ですらねぇ…!い、いや一応人型ではあるのか…?」


「まぁそうですね。それとおはようございます。あなたはこれから異世界に転生されます」


「・・・・・・・・・・・・・は?」


脈絡もなくいきなり何を言い出すんだこの爬虫類もどき…


「あなたは地球人類として死亡しました。そこで魂を抽出され、出来る限り本来の肉体を維持した状態で地球とは別の世界の、別の人間として転生することになります」


待て、異世界転生だと?


もしかしなくてもよくある異世界転生もの?世間の流行に全く関心のない俺でさえ名前や流れをちょっとぐらい知る位の有名どころだぞ…


「も、もしかして俺は異世界に行けるのか!?」


「その通りですよ、九龍侍 蒼真さん。…うーん蒼真…ですか。良い名前ですね」


「そ、それで俺はどんな転生者になるんだ!?天才魔術師か!?伝説の勇者か!?最強の一般人か!?それともモンスターにでもなるのか!?」


こちらの問いかけを無視して竜人は用紙を流し見。


「はい結構です。あなたはこれからソウマという人物として異世界で生き延びてください。あ、転生先で死んじゃったりしてもこちらは一切の責任は負えませんので」


「は?え?ちょ――」


受け答えをする前に視界が真っ白に覆われる。





一瞬だけ意識が飛んだかと思えば急にハッと目が覚める。


(…なんだったんだ…今の…)


悪い夢でも見たのか体を起こすが、先程の何もない空間とは一変し、小屋の中…否、揺れている…?


気が付けば両手両足首に錠が掛けられ、そこから伸びる鎖が隣の人にまで繋がっており、まるで囚人の護送でもしているかのような状況に。


「な、なんだこりゃぁ!?」


思わず叫ぶ。


すると外から殴りつけるような衝撃と共に怒号が響く。


「うるさい!黙っていろ!」


今の怒鳴り声と揺れ方…外の景色が全く見えないところを見ると… 運ばれてるのか?


「…ど、どうなってんだよ…」


「見ての通りさ…運ばれてるんだよ…」


隣の痩せこけた男がボソボソと答える。


「ど、どこに…?」


「知らないのかい?ヴェンテイン帝国さ…」


「ヴェンテイン…?」


「…お前さん…何処から来たんだ?帝国を知らないなんて田舎者でさえいないのに…」


そうだ…ここは異世界なんだ。


やはり夢ではなかった。 俺は異世界転生者なんだ。


(だったらこんな鎖…!)


よくある転生者なら生まれ以てのナントカってのがあるはずだ!


鎖ぐらいなら…と思いつつ鎖を引っ張るがビクともしない。


「だ、ダメか…」


「無駄さ…仮に鎖を取って脱走しようとしても見張りの兵士に殺されちまう。俺達は帝国の奴隷にされるのさ…」


おいおいおいおいおいおいおいおいおい!転生して真っ先に奴隷送りだと!?冗談じゃねぇ!折角転生したんだから前よりももっといい人生を送りたいに決まってんだろ!


(どうすりゃいい…?考えろ…落ち着いて考えれば何とかなるはずだ…)


そもそもどんな世界なのかすら把握する事も出来ない。


俺は魔術師か?戦士か?平民なのか?


魔法を使えるなら昔漫画で見たようにド派手に蹴散らして見事に脱出できる。だが念じたり力を込めたりしても何の変化もない。


戦士か?腕力が前より強くなってるようにも思えない。現に鎖はビクともしなかった。


平民なら絶望的だ。最強なのかどうかの検証も既に終えている。


(どうすりゃいいんだ…始まってすぐにバッドエンドかよ…!?)


始まってすぐに終わる転生なんてあっていいのか!?


……待て、こういう時は必ず助けがくるはずだ。


俺が主人公なら、こういう絶望を打ち破ってくれる最初の仲間となるべき登場人物がやってきてくれるはずだ!


それを信じて待つことにする。来てくれることを祈りながら…俺がただの変哲のないモブならもう諦めるしかない…

と、外が急に騒がしくなる。


「て、敵襲だ!迎え撃て!」


先程怒鳴った声の主か?外では鋭い金属音と爆音が響く。


(来た!信じてた!やっぱり俺の期待を裏切らなかった!)


我ながら調子の良い事をと思うがこれぐらいは別に許されるのではないか?


「くそ、止むを得ん!撤退するぞ!」


先程の兵士らしい男の声が聞こえると同時に扉が開く。


「皆さん、もう大丈夫です!」


女性の声が響き、眩しい光が内部を照らす。


日の光にやや眩みながらも歓喜した人々が外に向かって一斉に走り出す。


「え、ちょっと…おわっ!」


鎖が繋がってるにも関わらずに走り出した所為で思わず引っ張られて倒れる。


「大丈夫ですか!?」


駆け寄ってくる声の主は扉を開けた女性と同じ声…


あぁ、きっとこの女性が記念すべき最初の仲間…


鎖が切られる音と共に女性の顔を拝…見…?





「あの…大丈夫…ですか…?」


その女性は 獣のようであり、人のような顔をした 獣人だった。

  

  続く

生まれて初めての小説チャレンジ

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