8/17
1-8
8
何だったんだ?
一人残された神津はそう呟いた。
「お見事神津先生。あなたは今、一人の生徒を正しい方へと導いたのですよ」
桜の木の裏から声がした。
神津は驚いて声のした方を向く。その方向に立っている一本の木。その後ろからドリアン高校の校長先生が姿を見せた。
穏やかな要望で品のある初老の男性だ。
「校長――いったいいつからそこに?」
「少し前からだよ。見物させていただいたが、君は立派に教師を務めていたと思うよ」
「はあ、ありがとうございます」
そこで神津はある事に気づいた。
「校長、一つ質問が」
「何かね」
「顔に沢山桜の花びらついてますよ」