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島流し教室  作者: 綺麗な夕日
ここは私の居場所じゃない
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1-3

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 ドリアン高校は一学年に七クラス。二年生からは文系と理系に分けられ、1組から3組が文系クラス、それ以降が理系クラスとなる。

 私は文系なので、1組から3組のどこかになる。

 仲の良い子がいっぱいいればいいなあ…。

 そんな期待を持って、貼り出されたクラス分けの紙を見た。一枚の紙に一クラスの名簿が記されている。

「冗談でしょ…!?」

 私の名前は1組から3組のどこにもなかった。念のためにもう一度見直したけれど、やっぱりなかった。

 まさか――間違えて理系クラスに入れられた!?そんなの困るわ、やっと物理と縁が切れたと思ったのに!はあぁ――文転するか。幸い、去年のクラスで仲の良かった子で理系を選んだ子もいるし。

 でも理系クラスにも私の名前は無かった。

 た、退学させられた!?

 動揺して体が震えだした。その時、貼り出されたクラス分けの紙が全部で八枚ある事に私は気づいた。

 7組までしかないのに、紙が八枚あるのはおかしい。

 私は八枚目の紙を見た。

 その紙には二年∞組と書かれていた。

 ∞――組!?

 8組でいいんだよね…?

 1組から7組までは通常のアラビア数字。なぜか8組だけ8じゃなくて∞となっていた。

 8と書かれた上から∞に修正された様子もないし、8の部分を切り取って90度回転させた様子もない。最初から∞と印刷されていた。

 いやいや、パソコンで作ったのかスマホで作ったのかは知らないけど、8と∞を打ち間違えたりはしないでしょ。

 待って、関ジャニ∞は∞と書いてエイトと読むわ。作った人が関ジャニ∞のファンで、8を∞と予測変換してしまったのかもしれない。

 それなら話は見えてくる。

 そう納得した私はすがる思いで∞組の名簿を見た。

 ここに名前がなければ私は退学?それとも、私はとっくに死んでいるのに、私自身が気づいていないという事になっちゃう。

 そんな不安は、∞組の名簿内に私の名前を見つけた事で取り除かれた。

 文系志望者が多すぎて、急きょクラスを一つ追加したのかしら。でもまあ、自分の居場所があるっていうのは安心するわ。とりあえず私は8組の教室へ行けばいいのね。

 私は突き当りに貼られた教室への順路図を見た。

 1組から7組はここを左に。∞組はここを右に――と書かれていた。

 ここでも8組じゃなくて∞組と書いてあるじゃない。本当に∞組なの?それに∞組だけ他の教室とまるっきり反対の場所じゃないの。

 ツッコミどころは満載だけど、今は案内に従うしかない。

 私は指示通りに突き当りを右に曲がる。

 大半の生徒が楽しげに笑いながら左へ曲がっていく。右へ曲がったのは私しかいない。かなり寂しい。

 この寂しさに耐えながらちょっと歩くと、∞組は右折と矢印の描かれた紙が壁に貼られているのを見た。指示通りに右折。

 この後も度々∞組への案内図が貼られているのを見ては、指示通りに進んだ。何度も曲がり、階段を登る。

 やたらと入り組んだ学校ね…。

 私は歩きながら「長い…」と呟いた。

 ふと気づくと、やはり私の周りに誰もいない。先を行く生徒も、後から来る生徒もいない。

 もしや何かのドッキリ!?いや、クラス分けには∞組の生徒30人の名前が記されていたわ。30人の為にドッキリだなんて、妙に手が込んでるじゃない。

 ふと、周囲の様子も違ってきたことに気付いた。校舎の入り口や、クラス分けの示されていた廊下は綺麗で明るい印象だった。

 でも今私が歩いている廊下や壁は黒く薄汚れていて、照明も薄暗い。恐らく生徒や教師もほぼ来ない場所だわ。そんな場所に教室があるというの?

 そんな私の疑問は直後に解消された。

 目の前に三つの教室が見えた。

 私は安堵して駆け寄る。それぞれの教室の扉の上に、プレートが付いていた。

 三つ並んだ部屋の内、左に社会科準備室。右に社会科資料室。恐らく三年間の高校生活で踏み入れる事のない生徒も多い部屋。

 そんな部屋に挟まれた部屋が私のクラス、2年∞組だった。

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