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島流し教室  作者: 綺麗な夕日
ここは私の居場所じゃない
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 私が通うのはドリアン高校。特筆すべきことも無い、普通の高校よ。でも普通の高校での普通の学生生活っていいものよね。人生に一度しかない女子高生という黄金時代。華やかで賑やかで楽しくてちょっぴりほろ苦い――そんな時代はきっと未来の遺産になる。

 そんな思いを胸に、私はクラス分けの貼り出された看板へ向かっていた。

 歩く私の眼前に奇妙なものが立っていた。

「桜の妖精――!?」

 咄嗟に叫んでいた。

 目の前のそれは、桜の花びらで作られた人間の姿をしていた。それも等身大。私よりも背が高い。

 桜の花びらが集まって人の形を形成し、それが目の前に立っている光景を想像してみて――。誰だって驚くでしょ?桜の妖精と思っても仕方が無いわ。

 で、桜の妖精が一体私に何の用かしら?もしかして、自分を桜の妖精だと思いあがっていた私を懲らしめに来たのかしら。とりあえず、謝るに越したことは無いわ。

「進級おめでとう」

 私が謝るよりも先に、桜の妖精が話しかけてきた。

ありがとうございます、と私はお礼を言った。

「高校生活。桜の様に美しいだけではないが、楽しい日々を過ごせるよう願っているよ」

 落ち着いた声で桜の妖精は私にそう言った。

うーむ、桜の妖精は悪い妖精ではなさそう。

 その時、風が吹いた。私の綺麗な髪が風になびく。それと同時に、風に吹かれた桜の妖精から桜の花びらが舞った。

 その下から、人間の肌が現れた。ちょっと皺が刻まれ、水分の減った肌だった。

 目の前に立っていたのは桜の妖精ではなかった。初老の男性が全身に桜の花びらを付けていただけだった。幸か不幸か、顔に付いた桜の花びらはほぼ取れていないのに、体の方は結構飛んで、色々と見えてしまっている。

「見るなぁー!」

 桜の妖精改め謎のおじさんは両手で顔を覆って走り去った。

 隠すべき場所は他にもあるんじゃない?

 謎のおじさんが走り去った後、辺りはしんと静まり返っていた。私はふぅとため息をつく。

 進級初日から桜の花びらをまとったおじさんに絡まれる女子高生というのも珍しいじゃない?でも奇妙なおじさんと春の組み合わせは時期としてはぴったりかも。ある意味ラッキーかな?

 前向きに考え、私は当初の予定通りクラスの確認へ向かった。

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