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四月。一面に咲き誇った桜の下を、輝かしい高校生たちが学校へと向かって歩いている。桜の花びら舞う中を軽やかに歩く、未来ある若者たちは皆希望に満ちた笑みを浮かべていた。
私、鳥月風香は未来ある高校生二年生。絶賛高校生活満喫中。
でも私はそこらの高校生とは違う。
なぜなら私は――絶世の美少女だから。
胸元まで伸ばした桜色の髪。光反射するレモン色の瞳。健康的で綺麗な肌。身長や胸は標準サイズだけども。
絶世の美少女が桜舞い散る中、澄んだ笑みを浮かべて歩くのを想像してみて。
素晴らしい光景でしょ?カメラがあれば写真を撮り、筆と紙があれば瞬時にスケッチしたくなるでしょ。気持ちは分かるけど、ちゃんと事前に私の許可は取って欲しい。
特筆すべきは私の髪。桜色の髪が風景と一致して、まるで私は桜の妖精みたいじゃない。
桜の妖精と見間違う美貌の持ち主である私は、登校中に周囲の高校生から視線をいっぱい向けられる。他人の視線はとっくの昔に慣れっこだし、むしろ大歓迎。
私は上機嫌にスキップしながら学校へと向かった。