第十八話
町を目指して歩く。
正直なところ、夜でも歩こうと思ったら歩けるだろう。しかしそれは危険だ。この三人なら危険はないかもしれないが、それでも可能性はゼロではない。そんな危険をおかして本来の目的が達成できなければ意味がない。目先のことよりも最終目標を重視する。それが旅を続けるコツだろう。
「……なかなか着かないね」
「……そうだな」
「……おかしいですね。もう着いてもいい頃合いなんですが」
三人とも違和感が出始める。
何かがおかしい。
そんな事を感じていると町が見えた。
「あっ。ついたよ!」
違和感はどうやら思い過ごしだったようだ。安堵のため息をついた時にそれは確信に変わる。
「……ローレン、だと?」
それは町の名前だ。それを見てシェルだけが驚愕する。
「どうしたシェル司教殿。あれが目的の町ではないのか?」
「司教様?」
シェルは町の看板を見ながらゆっくりと口を動かす。
「……私たちが目指していた町の名前はギルリアという町です。そして……ローレンとは私が十日ほど前に寄り、出発した町の名前です」
「なんだと?」
サクラはどういうことだと首をかしげる。
「ん? んん? それってつまり?」
「つまり、私たちはいつの間にか逆戻りをしていたわけです」
惑わされた。
全員がそう理解した。
サクラが言っていた通りだ。旧アルヴェルトへ行こうとすると、たどり着けない。いつの間にか違う道へと誘われている。
「ん~。まぁ作戦成功?」
「まぁ、目的は果たしたが。なんともやる気がそがれる」
「……今ははたして何日なんでしょうね」
いったいいつからだ?
いつから惑わされていた?
あれからどれほどの時間が経過している?
全員が惑わされた。魔女と司教と魔女の子が惑わされた。




