第四話
「魔女を見つけだす? この時代に? わたし一人で? しかもこの結界? を張った人物を見つけ出す?」
口に出して言ってみてわかる。
「あっはー、むりむり!」
大きく顔の前で手をふる。どれだけの膨大な時間がかかるのか分かったものではない。それにその魔女がいたとしてすでに死んでいる可能性だってある。
魔女狩りの時代は過ぎたとはいえ、現在どれほどの魔女が残っているのか見当もつかない。
「魔女……。おかあさん以外会ったことないなぁ」
見ればわかるものだろうか。この時代に魔女を探し出すなど困難以外なにものでもない。しかし、そのルートを通らなければいけないと言われれば通るしか道はないだろう。
「魔女探し? えぇ、ほんとにやるのぉ?」
しかもあくまでこれは自分の考えた可能性の一つだ。間違っている可能性の方が高い。それでも一つ一つやっていくしかないのをサクラはわかっている。
「うう~」
ちょうど森をぬけた草原で頭を抱えてしゃがみこむ。どこからどう手をつけようか悩んでいた時だった。一つの視線がサクラを見ていた。
その巨漢に似つかわしくない静かな足取り。鼻から出る空気は自然の風のようだった。
だからサクラは気が付かない。
自然に生きる獣はその瞬間まで殺気を出さない。
見つめて。
認識して。
相手が気が付いてない事を確認。
今だ。
巨大な猪は地面を蹴る。もう隠す必要性がないので咆哮し大地を揺らす。
「うん? 地震?」
ふと、後ろを振り向いたサクラの眼に飛び込んで来たのは巨大な壁がすぐそこまで迫っている姿だった。
衝撃音が木霊する。
「あぁ? なんだぁお前」
「それはこちらのセリフだ」
間一髪のところでサクラと猪の間に二人の人物が割って入った。




