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1.領主との会談

まだ弓には触れません。


次の話で弓へのイントロをしたい。


(わかりにくい部分を修正しました。)

改定.2019/08/12

 

 執事の方に促され、質の良い椅子に座って待っていると、


颯爽と現れたのは、短い青色の髪の似合う人物で


「はじめまして、領主のロバート・ジョー・カールトンです。ロバートと呼んで下さい。」


俺は立ち上がって、


「初めまして、ロバート様」と言い、差し出された手と握手を交わした。


ロバート様の印象は、クールで仕事のできそうな若手の社長さんのような感じだ。だがそれだけではなく、同時に親しみやすさを感じた。


「イヤー、トウヤ、大変だったね。まあ、座って、座って。」


「失礼します。」


「そんなかしこまらなくてもいいんだよ。」


と笑いながら言う。


「食事でもしながらゆっくり話そう。」


「なにを飲むかね?ビール、ワイン、エール、はちみつ酒、大体のものはあるよ。」


アルコールの入っていないものを提案したが、…結局説得されビールをいただくことになった。仕方がない。---乾いた体がビールを欲していたのだから。

異世界でもビールはかなり染み渡ったと記しておこう。


食事を勧めながらしばらく話していると、


「街についたのは今日らしいけど、少し距離があっただろう。」


「ええ。前の世界では机に座ってばかりだったので少し疲れました。」


「そうだろう。やはり風呂を先に進めてよかったようだ。風呂はどうだっただろうか?自慢の風呂なんだよ。」


「とてもいいお風呂で、疲れをとることができました!」


「そうだろう!それはよかった。」


と心底満足そうにうなずいた。続けて、


「特に壁画の火山の絵は有名な絵師の方に書いてもらったもので、ほかの領主からは異世界趣味だなんていうやつもいるが、私はとても気に入っているんだ。風呂にいながら雄大な景色を楽しめるなんてとても風流だとは思わないか?!異世界のお風呂は進んでいるというのだが教えてくれないか?!」


興奮して、早口に捲し立てるロバートさんにちょっと引いてしまったが、かなりのお風呂好きのようだ。


「ええ…。岩盤浴・森林浴なんてものもありまして…、露天風呂というのはご存じですか?…」となんとか合わせておいた。



しばらくして、ロバートさんの興奮も収まり、これからの身の立て方を一緒に考えようということになった。


「前の世界でどんな仕事をしていたんだい?」


「製品の図面を書く仕事をしていました。具体的には揺れを測るセンサの部品です。研究機関や発電所などで異常を検知するのに使われます。」


「そのような仕事をしてたんだね。この世界では測る技術はすごく基本的なことで、原理さえ学べばだれでも行うことができるんだ。この世界には魔法があることは知っているね。感知は魔法の基礎に分類され詳しくは、構成魔法とされているんだ。」


「まあ詳しいことはいろいろあるのだが、結論から言うと、魔法というのが“人のイメージを物理的な現象に直結させることができる。”というのが、なぜこの世界では測定が基本的なことかを示している。

説明のためにここで、この使用済みのこのお皿を中央から君からみて左端に移動させてみよう。」


「シフト!」


すると皿が机とは水平に10センチほどに浮かび、机と水平に移動したあと、すっとおろされた。


「この魔法の発動に関してだが、重要なことは移動の様子をイメージすることだけだ。物体の質量を計測する必要はなく、スピードのコントロールについても指定することはない。込められた魔力量さえ十分であれば魔法はイメージ通りに発動する。」


「また、極端に過剰、または過少であれば魔法は発動しないから、ほとんどの魔法は安全に使用することができる。また使用しなかった魔力は基本的にほぼ回収される。」


「だから、言いにくいのだが、センサで食べていくことは難しいかもしれない。」


と申し訳なさそうに言う。


「では、製品の異常の検知などには用いられていないのでしょうか?」

と俺が質問すると、


「結論から言うと、用いられていない。それは、なにを問題にするかを明確化すれば、製品の異常を直接発見することができる。そういう魔法を使った検査の手法があるからだ。

 例えば、製品の検査などでは、構造と機能が頭に入っている者が、魔法を唱えることで状態の異常を検知できる。

より構造や機能が分かっているほうが検査の精度が上昇するためこの世界にも技術者が存在するが、センサなどに頼っていない点で少し毛色が違っていると思う。」


「そうですか。」


と俺は言いながら、この世界は魔法という独特の技能によって社会が機能していることに納得して、言葉を続けた。


「先ほどのお話で、魔法技術の特性によって、センサが不要であるということが分かりました。職業としてセンサを作っていただけですので、特にセンサでなければならないというこだわりはないです。ですが、他に転生者で生計を立てやすい方法はありますか?」

 

 と質問した。


「やはり、冒険者だろうか。転生者は転移時にステータスのボーナスが発生するようで、常人より体力と魔力が強いことが多い。また経験値を得やすいことから、高ランクの冒険者になれる素養がある。---そしてある程度稼いだ後には冒険者学校に行く者もいるようだ。常識を学ぶためや、さらに魔法という未知の技術を知るためにできるだろう。」


 「冒険者になる転生者は多いのですか?」


 「うん多いよ。冒険者組合からは企業を通じて様々な仕事が提供されている。その関係で、その中から自身の興味を持つ職業を選択できるわけだ。」


「わかりました。まずは冒険者をやってみようと思います。」


「そうか。まあ、今日はこの辺でお開きにしよう。遅いので我が家に止まっていくといい。」


「ありがとうございます。」

と言い、素直に好意に甘えておくことにした。


「ん。また何かこまった事があれば気軽にいってほしい。あと何をするにも先立つものが必要だろう。本当に心ばかりではあるが、明日の出発時に受け取ってくれたまえ。」


「お心遣いありがとうございます。」


「それでは大変楽しい時間を過ごせた。また機会があれば。」


といって席を立った。


「ありがとうございます。」


といいながら部屋を出る彼を見送った。


ロバートさんが完全に退出すると、控えていた執事の方に案内され寝室へと案内された。

部屋は先ほどの応接室の隣で、部屋は応接室と雰囲気が統一されていた。中央にはキングサイズのベッドがあった。


「それでは失礼します。朝起きられましたら、ベッドの横にあるベルで使用人をお呼びください。朝食等のご準備をさせていただきます。」


靴を脱ぎ、ふかふかのベッドにあおむけになり、天井の精緻な模様をぼーっと眺めながら今日の一日のことを考えた。

前髪を視界に入れて戻した後、今日のことを思い出してみた。


つくづくここが地球とは違う世界なんだなと思った。生活に対する少しの不安があるが、それよりもこの手足が自由に動くことが喜ばしいことだった。この世界に生まれたことに感謝し楽しく生きよう思った。


最後までお読みいただきありがとうございます。


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