Lolita《002》
???「少女の格言に誤りがあったため修正・・・完了しました。
作者よりーー
読者の皆様・・・申し訳ございません、との事です。」
「お兄ー、ただいまー。」
「おうおかえりぃぃぃ!」
その日家に帰ると自分の兄、お兄がとても忙しそうだった。なんと言っても何時もはしない四足歩行で目の前を通り過ぎて行ったのだ。いつもこの方が早い!と豪語しているだけあってその速さはピカイチだ。
「その顔はやめてくれっ!僕だって好きでこんなことしてるんじゃないんだ!」
「はいはい、分かってるよ。私だって本当は急ぎたいし...それじゃお風呂入ってくるねー。」
「溜めてあるからぁぁぁぁ!」
そんな有難いお兄を横目にウキウキとお風呂場へと向かっていった。そして服を脱ぎ捨て体を洗うとすぐさま風呂の中に入った。まぁ、髪が痛まないようにゴムで縛ってはいるが。
そして勢いよくドボンと入るとふぃーと親父のようなため息をついて肩まで沈めた。何時もはここで鼻歌を歌ったりとするのだが今日はある事で頭がいっぱいだった。
「パパの...か。」
そう言うとメイは風呂から上がり着替えると、すぐさま自分の部屋に向かった。そして中に入るとお兄が整えてくれたのか既に設備が整っていた。身体に負担をかけない水入りベッド、そして空調も完備され、中に入った途端風呂上がりで火照っていた身体がすっとちょうどいい温度に感じられるようになった。そのベッドを覆うように筒状の大型の機械が鎮座しており、それだけ見るとなかなか物々しく感じられた。
「フリー・ノヴァアドベンチャー。ノヴァってなんだったかな...確か宇宙とかで、やっぱりわかんないや。」
その機械の表面に書かれている文字を指でなぞりながらそう読んだ。
〈Free Nova Online〉
『これはゲームでありゲームであらず』というキャッチコピーが売りのVRMMOというジャンルのゲームだ。
曰く、高度な物理演算を用いた結果、『これはゲームだからと』一括りにできなくなった
曰く、NPCと呼ばれるゲームの中の住人に最先端のAI技術が用いられ独自に学び、独自に応用するようになり定型文で受け答えすることがなくなった
などと多くの評価が掲示板と呼ばれる、多くの人がネット上で情報を文で交換する場に書いてあった。
「パパ...パパの作ったゲーム...楽しむね。...お兄ぃ!今からインするねーー!!」
「わかったぁぁ!先にいっててぇぇ!」
そうお兄に伝え、早速その機械に潜り込みベッドに寝転がると中に搭載されたヘッドギアなるものを装着した。実際にはこれだけでも起動はするのだが...他の機会は補助品、アタッチメントとも言える。付けることによってコンマ何秒のラグが統一され、ゲーム内でのアバターの操作感度が良くなるなど、効果は微々たるものでも多くの補助機能がつくようになっていた。
そして当の本人と言うと、
「ほぇぇぇーー」
そう目を見開き、中の構造に驚いていた。こういう機械に触れ合うのが初めての人によく見られる光景だった。
このVRMMOなどを一括りにしたVRというジャンルは十年前に開発されたにも関わらず、メイは触れたことも見たこともなかった。知ったのは一年前のことで、パパの務めていた会社から連絡が来て初めてVRという単語を聞いた。そしてある情報も...
「うん...そろそろ行こう、パパが作ったその場所へ。」
そう言って思い出したその記憶を振り払い、ヘッドギアの側面に着いたボタンをピッと指で押した。このボタンはある程度凹んでおり寝返りを打っても勝手に押されることは無い、そんな構造をしていた。
そして数秒後ヴンという音と共にメイの意識は暗転し、次に目を開けると目の前には青い光景が広がっていた。壁と床はある程度のますで区切られており、まるで設計図を見ているかのようだった。
「ようこそいらっしゃいましたマスター。」
そこにポツンと一人の女性が立っており、こちらに笑顔を向けて話しかけてきた。その女性は自分よりも身長が高く、本当に大人の女性って感じの雰囲気を出していて少し嫉妬してしまった。
「ありがとう、ございます...ここがフリーノヴァオンラインの世界なの?」
嫉妬心を押さえ込みそう質問した。その女性は笑顔を崩さずにまた話し始めた。
「いえ、今はまだその手前ですよ。ここで貴方達旅人の仮初の肉体を設定し、あちらに送り込むのです。」
「ふーん、それとお姉さん。私まだ10歳だから敬語使わなくていいんだよ?」
自分よりも10も年上そうな人に敬語を使われると、なんだかむず痒い気がして嫌だった。その気持ちを汲み取ってくれたのかお姉さんはあら、ごめんなさいとラフな口調になりまた話し始めた。
「それじゃこれからあなたの仮初の肉体...アバターを作っていくわね?まずはこの中から種族を選んでね。あ、種族って分かる?」
そう言いきったあとでハッとした感じに聞いてきた。なぜならこのゲームは小学生以上ができるようになっているが、知識量がまだ未熟なため分からないことも多い。それで聞いたのだがメイは多くの言葉を小さい頃から学んできたおかげで大体のことは分かる。加えてあんなことやこんなことも。
「その様子だと分かるみたいね。それじゃこの中から選んでね。もし種族によっての説明が欲しかったら言ってね?」
すると目の前にヴンと音を立てて四角い板のようなものが現れそのまま空中に浮いていた。その板にはズラリと種族一覧が載っており、指を上になぞるとさらにしたの欄まで見ることができた。だいたい三回なぞるぐらいの数があるようで、全部見るのは大変そうだなーと思った。
ーーいっぱいありすぎ...。この中から選ぶって、そうだお姉さんに頼んでみようかな?
「お姉ーさん!」
「ん、なに?」
「お姉さんに頼むのってダメ?ちょっとこの数だと大変なの...。」
そう上目遣いに目でダメ?と懇願するとすぐにニコッと笑いこちらに近づいてきた。そしてメイの後ろに座るとその膝に乗せ、優しく抱きついてきた。
「別にいいわよ。そもそもそれぐらい頼んで欲しいぐらい...。それで、あなたはどんなプレイスタイルをしたいの?」
その言葉にメイはあの言葉を即座に言い放った。
「ゴミ共は全て殲滅だーー!」
「あら、なるほど。」
そう手を振り上げて言った言葉に世間の極一般的な人が聞いたら眉を潜めるだろうがここは現実ではない。その女性は以外だなと思いつつもそのプレイスタイルに合った種族を複数選び始めた。
「お姉さん...は私の言葉に嫌な顔しないね。」
その様子にメイは不思議に思った。大体のお姉さんぐらいの大人の人達はこの話をするといつも嫌な顔をし、中にはそんなこと言うのはやめなさい!と怒鳴る人もいた。
「ふふ、当然よ。確かにあなた達旅人の世界では慎ましくないらしいけど、この世界は違うの。個々が楽しむためにあるの。その考えを否定しないで、逆に尊重するわよ。」
そう女性はこちらを横目に見るメイににこやかに答えるとメイは満足いったようでにへっと女性に笑みを返した。
「それと、これがそのプレイスタイルに合う種族よ。説明いる?」
「うん!お願いします!」
「ふふ、分かったわよ。それじゃっ、最初はドワーフ族。この種族の特徴を一言で表すと...脳筋の職人って感じね。」
そこからメイは丁寧にわかりやすく説明してくれるお姉さんの言葉を聞き入り、全部で三つの種族についての説明を受けた。
一つはドワーフ族。所謂脳まで筋肉出てきてそうな筋肉種族。この種族はその力を活かして採掘、土木作業など力仕事を生業としているそうだ。それに魔物と言われる敵を狩る時は重い武器を使うようで敵をたたきつぶすように戦うらしい。お姉さんに何故選んだの?と聞くと、
「だって、あなた機関紙とか使いたいのよね?ならそんな重たいもの持てるのは限られるわよ。」
確かに今思い出すとあの男の人の腕も筋肉でパツンパツンになっていた。なるほどと思いながらもあんなごつくなりたくないなーと思いつつこの種族は保留にした。
そして二つ目はゴーレム族。体組織が岩などでできた種族らしい。この種族は筋肉が無いが身体を硬くさせることでその武器を持ったポーズを維持できるようになれるらしく、疲労感を感じたくないならこれね、とアドバイスされた。だがその分身体の動きは鈍くなり、接近戦は難しくなると言われた。
そして最後の三つ目は機械族。その言葉通り身体が機械で作られた種族らしい。この種族は自分の身体を改造することができて腕や足、さらには胸までも武器と化せるらしい。だがその分身体の損傷を直すのが難しく、繊細な注意を払う必要があるらしい。
この三つを聞いてメイは全部面白そうだなーと思いつつも、やっぱりあの男の人みたくなっちゃ嫌だし、いちいち敵を気にするのもめんどくさいしと思いゴーレム族を選ぶことにした。敵の真ん前にドンと佇みその武器から放たれる嵐...想像するだけで凄いワクワクしてきた。
「ゴーレム族にする!」
「うん、分かったわ。あとは見た目ね...そのままでもいいの?」
「うーん、でもみばれってするとめんどくさいんだよね?」
メイは確かに多くの知識を持っているが何分経験が少ない。そのみばれという事態への危険性があまり分からなかった。
「そうね...あなた達の世界じゃそんなこともあるのよね。醜いわ...ええ、ちょっと面倒よ。でも髪の色とか目の色は変えたくないのでしょう?」
「うん、これはパパとママの、証だから...」
その様子はまるで怯える子猫のようで、実際先程『変え』という言葉にビクッと身体を震えさせていた。その様子にあちらは物騒ねと思いつつもどうしようかと悩み始めた。
「なら髪型と、耳の形を変えちゃいましょうか。いい?」
「うん!それなら大丈夫!」
「ふふっ、分かったわ。それならちょっとじっとしててね。」
そう言って女性がメイの髪に触れるとその髪がだんだんと伸び始め女性の膝にまで垂れ落ちるぐらいになった。女性はその髪をどこからか取り出したゴムによって縛り、ツインテールに仕上げた。すぐにその指を耳に触れさせると耳の形がとんがり、人間特有の耳ではなくなった。
「これでおしまいよ。それじゃ、次はその能力を決めてもらいましょうか。」
???「作者よりーーこの小説は不定期更新です。誤字・脱字があるかもしれませんがよろしくお願いします。ーー
とのことです。」
???「あの子の能力決めるの...待ちきれないわ♪」
???「・・・はぁ。」