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仕事でも後始末が大変なのは一緒です。

 戦闘が終わった所為か、ようやく周りに気を配る余裕も出来る。


 吹き飛ばされたタロウを探していると、ヨタヨタしながらもタロウがこちらに歩いてきた。


「おとうさん……ほんとうによかった。」


 ポロポロと涙を流すタロウを、俺は抱きしめながら撫でてやる。


 タロウは俺の胸に顔を埋めると、安心したのか声を殺して泣き始めた。


「よくやった。さすがはお兄ちゃんだ」


 王水を、これしかないというタイミングで当ててくれた長男には全く頭が上がらない。




「とーちゃん。わたしはかつやくできなかった」


 悲しそうに俯くフタバの頭を俺はガシガシと強めに撫でてやる。


「そんなことはないぞーお前が呼んでくれたからとーちゃんは立てたんだ。フタバのおかげだぞ? 」


 フタバにそう言ってやると、ぱっと明るい顔に戻り撫でられるがままになる。


 あれがなければ本当に俺は立たなかったしな。




「コジロウもありがとうな。父さん本当にびっくりしたよ」


 そう言って頬をプニプニすると、キャキャと喜ぶ。


 この子があんな凄い事を出来るなんて……本当に赤ちゃんってのは可能性の塊だな。




「ジロウ。お前よくあんなこと考えたな? おとーさんは本当に驚いたよ」


 離れた所で座り込んでいるジロウに呼びかける。


 生き物からも収穫なんて、普通考えないしな……


「ねーちゃんがあぶなそうだから、とりあえずがんばってみた。でも、いまはからだにちからがはいらない」


 やはり無理をしたスキルの使い方だったのだろう。


 完全に消耗しきっている……


 そう言えばもう2人、無理なスキルの使い方をしてる子がいるな…




「オイチ。助かったけどお前は無理をしすぎだ。お前もジロウ同様疲れているだろう? 休んでおくほうがいい」


 いつの間にか真横にまで来ているオイチに話しかける。


「いえいえ。それほどつかれていませんよ。あのおにくはどくがありそうなのでまとめてやいておきますね。おおきいのといっしよに……」


 にっこり微笑みながら解体した肉の処理をする少女……怖すぎる。まぁ家族思いの子だから仕方がないよね?




「カナハもスキルを貸し与えるなんて無茶したけど本当に大丈夫なのか? 」


 カナハ心配して聞いて見るが、本人はあっけらかんとしている。


 見た感じは元気そのものだ。


「んー何かあの時は無我夢中だったからよく覚えてないの。疲れてないし多分大丈夫でしょ」


 笑顔でそう言われたらどうしようもないな。


 頑張ったお礼に頭を撫でてやると、くすぐったそうにするが嫌がる様子はない。




「ピピピピピピ…」




「あ。タイマー忘れてた。止めないとスマホの電池が切れちまう」


 タロウやカナハを脇に下ろしてスマホを止めに歩き出す。


 やっぱり勇者なんて柄じゃないな。


 俺には(有)者で十分だ。


 春のような暖かい風が、汗と血で濡れた俺の体を優しく冷やしてくれる。




 まったく、あんな事があったのに………この世界で感じる風が本当に心地よい。







『侵入者を撃退したことによりゾーンマスターのレベルが上がりました。ステータスボードにて確認してください』




 スマホのアラームを止め、子供達と後片付けをしている途中に頭の中でファンファーレと共にいつもの声が響いてくる。


 気のせいか、少しだけ嬉しそうなアナウンスに俺は微笑ましいものを感じたが今はステータスの確認をしてみるとしよう。




(名前)

 加藤 勝

 人間

 38才

 Level 5


(出身国)

 日本


(職業)

(有)者/ゾーンマスター


(ステータス)

 HP 50

 MP 0


 筋力 90

 知力 210

 敏捷 90

 器用 160

 生命 90

 精神 1059

 幸運 5


(スキルスロット)11/18

「レアスキル」

 ・異世界言語

 ・鑑定 Lv2

 ・偽装 Lv1

 ・アイテムボックス


「ノーマルスキル」

 ・農業 Lv1

 ・木工 Lv3

 ・商人 Lv6

 ・頑強Lv1(new)

 ・長剣Lv1(new)

 ・投擲Lv1(new)

 ・潜伏Lv1(new)

(称号)

 ・異世界転移者

 ・悪魔を素手で倒した者

 ・ツインジョブ


(賞罰)

 なし




 おおおお! レベルが上がってステータスが一気に上がった。


 スキルも4つも増えているし、これはチートというやつではないのだろうか。


「やったぞカナハ! レベルが5も上がった。これで大分強くなったんじゃないか? 」


「レベルが5 ⁈ ……う、うん。よく頑張ったお陰ね。おめでとう」


 俺のテンションとは裏腹にカナハの態度がよそよそしい……何か問題でもあるのか?


「とうちゃん。おれはレベル15だって! いっぱいあがったよ! ほめて、ほめて! 」


「ジ、ジロウ! そんなこといわなくてもいいのよ? おとうさまはすべてしっているのだから……」


 ジロウが嬉しそうに報告してくれるが、アヤハがそれを止めようと珍しく慌てながらフォローをしている……まぁ、俺はそれ以前にジロウの言葉に動揺してしてそれ所ではなかったのだが。


「そ、そうか……すごいなジロウ! ……他のみんなはどの位上がったんだ? 」


 俺も自分の動揺を出来るだけおもてに出さないようにしながらみんなにもレベルの事を聞いてみる……まさか、そんなはずは無いよな?


「ぼくはレベル18です……」


「わたしは……にいさまより少しだけ上です」


「フタバはレベル13だった! 」


「私は3だけレベルが上がったわ……」


 上からタロウ、オイチ、フタバにカナハ……特にオイチとカナハの心遣いが余計に俺のハートをズタズタにしてくれる。


「そ、そうか! みんな頑張ったからな!やっぱり俺の子供達は世界一だな! 」


 無理矢理笑いながらみんなを抱きしめ撫で回す。


 ジロウとフタバにコジロウはとても喜んでくれているが、理由を知っている年長組みはかなり申し訳なさそうにしている……いいんだ、子供達さえ喜んでくれているなら!


 ちなみにコタロウは14だった……ぐすん。

次回の投稿も2日後となります。



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