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予想外のことが起こると頭が真っ白になります

お待たせいたしました。



 自分が魔王の卵だと言われてそれをそのまま受け入れられる人間は何人いるのだろうか?


 カナハの説明がそのまま進もうとしているので、俺はそれを止めるべく口を出す事にする。


「ちょ、ちょっと待ってくれ! 魔王の卵みたいなものだと言われても俺には理解出来ない。出来れば何故そうなるのか、そこから話してほしいんだが」


 俺の言葉に動きが止まるカナハだったが、俺が動揺している事が分かったのか説明を止めると俺の方を見て何故か憐れむような視線をこちらに向けてくる。


「そうよね……今のあんたはこの世界では赤子みたいなものだものね。分かったわ、今からこの大陸の始まりから話していく事にしましょう」


 そう言うとカナハは虚空からプロジェクターのような物を取り出して机の上に置く。


 そのままカナハは部屋のカーテンを閉め、真っ暗になるようにすると取り出したプロジェクターのような動かし始める。


 因みにコタロウは既に俺の腕の中で夢の世界へと旅立っている……本当に動じない子だな。


「それじゃ説明を始めるわよ。まずこの世界の名はアガルスティアと呼ばれているわ。創世神様が作り出したとされているけど、それが本当かどうか知る人物なんていないから分からないけどね……話が逸れたわね。この世界にはヴォートレス大陸、ブラウマウ大陸、メダリーナ群島、そして私達魔族が住んでいるデルティア大陸となっているわ」


 俺はそこで質問の為に手を挙げる。


「済まない、少し聞きたいことがあるんだが……ここが魔族の住む大陸と聞こえたんだが、人口比はどの位なんだ? 俺以外の人間について知りたいから聞いてみたいんだが」


 何だか嫌な予感がした俺は原因となる点を指摘したのだが、カナハは俺から視線を逸らして音が出てない口笛を吹き始める。


「おい……何とか言えよ」


 余りにあからさまに話を逸らされるので本当に不安になってきたのだが、渋々話し出すカナハの言葉に俺は意識が飛びそうになったのであった。


「えーと、この大陸の人間の人口比? の意味が分からないから数で言うけど、私が知る限り人間は貴方1人だと……思う」


 俺はその場で気絶した。







「大丈夫、カトー? こんな所に召喚した私が言うのもあれだけど、魔族といっても人間とほとんど変わらないし、その……子供も出来るはずだから心配しないで! ちゃんと3人以上は産んでみせるから! 」


 わたわたと顔を真っ赤にしながらこちらに語りかけてくるカナハの言葉を起き掛けに聞かされながら俺は先程の話を思い出す。


「あぁ……夢じゃ無かったのか、大丈夫だカナハ。少しだけ驚いただけだ。だからそんなに泣くんじゃない。俺はここに来れた事を今は後悔なんかしてないんだ。お前や子供達に会えた事以上に幸せな事は無いからな。だからそんなに悲しそうな顔をするんじゃない」


 俺を膝枕をしていたカナハから落ちてくる涙を感じて、俺はカナハが泣き崩れ赤い目からとめどなく流れ落ちる涙の意味を感じとり、カナハの頰に手をやりながら答えてやる。


「お前が俺を召喚した事は事故であってお前自身が望んだものではないだろう? もしお前が望んだものだとしても今の俺は納得しているし満足している……だから、泣かないでくれ。こちらも辛くなる」


 声を押し殺して泣き続けるカナハの膝にある自分の頭に幸福感を感じながらも、俺はどうにかしてカナハを泣き止まそうと必死に言葉を続けるのであった……







「ごめんね? 少し感情が高ぶっちゃって……話を続けるわね。この大陸は実はこの世界が出来た当初には存在しなかったの。この大陸が生まれたのは今から3000年以上前ぐらいだと言われているわ。この世界はとても住みやすい世界で、数々の種族が生まれ繁栄したのだけどある時からその平和は崩れ落ちることになるの……突如として現れ始めた『魔獣』によりこの世界は混乱の坩堝と化したわ。魔獣とは魔素の暴走とも、魔素の反乱とも言われているけど正確な答えは未だ出ていないわ」


 俺はそこでもう一度片手を上げて確認をする。


「俺も魔素を使っているんだが、魔素と魔法の違いが良く分からない。出来ればそこも教えて欲しい」


 俺の言葉を聞いたカナハは納得した表情で俺に魔素の説明をしてくれる。


「そうね。魔素っていうのは魔力の元になるものと考えていいわ。その魔素を体に取り込み私達は魔力へと変換していくの。だから魔素が少ない所では魔法が使いづらいし、魔素がない所では魔法を使う事が出来ないわ」


 カナハの分かりやすい説明で俺も魔素について理解する事が出来た。


「成る程、魔素とはこの世界において本当に万能物質なんだな。しかし、その万能物質が何で魔獣何て生き物に成るのかは分からないと……因みに魔素が集まりやすい場所に何か特徴とかはないのかな?」


 俺の言葉の意味が分からないのか少し考える仕草を見せたカナハが何かに気付いたように慌てた口調で俺に話し掛けてくる。


「そ、そう言えば人類が多い場所に魔素は発生しやすいって聞いた事があるけど……もしかして魔素にも何か秘密があるのかしら! 」


 俺に詰め寄るカナハを宥めながらこの世界の不思議の一端を垣間見えた俺であったのだった。




次回も仕事が忙しい為来週となります。

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