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ご飯は大事です。体にも心にも必要な物です

 キッチンの使い勝手は日本の頃とほとんど変わらないようだ。


 電気の代わりに魔力で動いているのが違うぐらいじゃないかな?


「おとうさま。わたしもこのせつびをつかいたいのでつかいかたをみていてもよろしいですか? 」


 真剣なオイチの表情に、この子の考えている事が分かってしまう。


 多分【家事全般】があるのに役に立てない自分が嫌なのだろう……ちょっと俺に似ているよな。


「安心しろ。手伝ってもらうつもりだったから、手伝いながら覚えるといい。ゆっくりでいいから無理するなよ? 」


「はうぅぅぅ……あたまをなでながらいわないでください! 」


 余りにもいじらしいので、あたまを撫で撫でしていたら少し怒られてしまった。


 反省、反省。






 野菜や肉など少し名前が違うが大体同じようなものばかりなので安心して使っていく。




 まずは肉と野菜の炒め物だな。


 モーと言う名の牛に似た肉を焼けたフライパンで炒めていく。


 塩胡椒で軽く下拵えで味付けしているのでミディアムぐらいにしておく。


 焼けてきたらオイチの用意してくれた野菜の切ったものを投入して軽く火を通す。


 焼肉のタレも出来上がる頃に入れていこう。


 最後に香り付けでフライパンの端に醤油を垂らして炒める。


 野菜と肉の炒め物の完成だ。


 オイチが欠食児童達に持って行くと争うように食べている。




 コタロウは先に人肌程度に温めた牛乳をカナハに飲ませてもらっているが、犬の赤ちゃんだと牛の乳は濃すぎると聞いた覚えがあるのだが大丈夫かな?


 後で動物用粉ミルクがあるかどうか調べてみよう。




 次は冷凍庫にうどんがあったのでお湯に入れて温める。


 出来れば普通のうどんにしたかったのだが、食べる勢いが凄いので焼うどんに変更だ。


 茹だったうどんの湯切りをして、野菜と細切れの肉を炒めたものに投入する。


 そこに万能調味料といっても過言では無いお好みソースを入れていく。


 濃厚な匂いに、子供達がみんなこちらに視線を向けてくる。


 最後に鰹節を振りかけて簡単ながら焼うどんだ。


 目を輝かせて食べている子供達とは裏腹に泣きそうな感じのカナハ。


 安心しろ。


 俺たちの分は別に取っているから泣くんじゃない……少しは我慢して配膳しているオイチを見習え。


 オイチも耳と尻尾がフラフラしているのに頑張っているんだぞ?




 最後は卵溶きスープで締めるとしよう。


 中華味の素があるなんてメルヘンが凄いのか、それとも魔素製品作製が万能なのかは分からないがありがたい事だ。


 それに塩胡椒で味を整え卵を溶いて入れていく。


 とろみをつけるために片栗粉を溶いたものを付け足していこう。


 男料理なので繊細な味は出せないがこんなものでいいかな?




「おとうさん。とってもおいしかった! 」


「とーさん、すごーい!」


「フタバおとうさんのおよめさんになる! 」


 どうやら料理は好評だったようだ。


「おとうさま。オイチにもりょうりをおしえてくださいね」


「あーお腹すいたー! 早くご飯を食べようよ」


 オイチは向上心が凄いな……明日から少しずつ教えていこう。


 カナハもコタロウのご飯をよく頑張ったな……初めて会った頃とはえらい違いだ。


「そうだな、俺達もご飯にするか! 」


 俺とオイチとカナハで食事をしていると他の子達も集まってくる。


 俺は冷凍庫にあった果物を簡単に切り分け、みんなの口に入れていく。


 タロウとオイチが少しだけ恥ずかしがっていたが、みんなの笑顔を見れて満足だ。


 やっぱり食事は家族で食べると心までいっぱいにしてくれるな。







 ご飯を食べたら眠たそうになる子供達を見て、俺は先程確認したお風呂場へお湯を張りに向かう。


 かなり大きな風呂場を最初に見た時は驚いたものだが、こちらも使い方はやはり日本のものと変わりがなくて安心だ。


 すぐにお湯を張る事が出来たので、半分寝ていたジロウとフタバにコタロウを抱えててお風呂に入りにいく。


「おとうさん。おふろってなんなの? 」


 自分の足でついてくるタロウが不思議そうに聞いてくるのを俺は笑顔で教えてあげる。


「お風呂っていうのはな。暖かい水で体を洗う場所なんだが、この暖かいお湯に体をつけると疲れが取れるんだ。気持ちいいそ〜」


 ルンルン気分な俺は、片付けをしてから入るというオイチとカナハを残してお風呂を楽しむつもりなのだが、どうやらタロウにはその良さがまだ分からないみたいだ。




 風呂場につくとみんなの服を脱がしていく。


 ジロウとフタバはタロウに任せ、俺はコタロウの服を脱がしていく。


 どうやらまだオシメのほうは問題ないようだ。


 みんなが服を脱いだら、俺がみんなを洗っていく。


 順番はジロウ、フタバ、コタロウにタロウだな。


 はしゃぐジロウに耳を防がせ、頭から洗っていく。


 耳に水が入るのだけは防ぎたいのでゆっくりと洗っていきながらシャワーを掛ける。


 どうやらジロウはお風呂が大丈夫なようなので安心だな。


 尻尾だけはどう洗うか迷ったが、とりあえず普通にシャンプーを使って洗っていった。


「これきもちいいねぇ〜」


 洗い終えたジロウが湯船でだらしない顔でなるのを見て、少しだけ怖がっていたフタバも俺の元へとやって来る。


 実はフタバは若干水を嫌がっていたので不安だったが、俺が丁寧に洗ってやるとこちらもだらしない顔をしながらお湯に浸かってしまう。


 次はコタロウだが、コタロウは自分で耳を防がないのでタロウ手伝ってもらいながら洗っていく。


 途中お湯が余りに気持ちが良いのか、お股から俺に目掛けておしっこが飛んで来るというハプニングもあったが、何とか洗い終えるとジロウとフタバに抱いてもらいながらお風呂に浸かっていると寝てしまった……お願いだからお風呂の中では勘弁だぞ?コタロウ。


 最後はタロウなのだが、自分で洗うと言いだしたので、俺と2人で洗い合う。


 洗い終えた俺はコタロウを抱き、家族仲良く湯船で過ごす。


「「「「はぁ〜〜!」」」」


 みんなの心地よいため息が、風呂場の中で木霊する。


 今日は本当に濃い1日になってしまったが、これは忘れる事の出来ない1日になるだろうな……









次回の投稿も2日後となります。


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