自己紹介ー中編
主人公とその相棒の自己紹介です。リーダーとトレーナーの変態コンビは『後編』で書きます。
「俺の名前はネオ。この地、〈埼玉エリア〉の研究塔の研究員で、主にキューブの解析とIn-actコードのプログラムを組んでる。といっても俺が組めるコードには限界があってね。Ⅱ型個体にしか効果がないんだ。」
ここでランタンが首をかしげる。この2人が穴埋め要因として連れて来るくらいなので、基本事項は流石に把握していると考えていたが様子を見る限りそうではないらしい。リーダーを見やるとドヤ顔を返され、漸く察する。この子は干渉することができるのだ、と。だからこそこの子を選び連れてきたのだろう。
「ええと、キューブが分裂現象を起こした始める原因となった5年前の太陽フレアは覚えているよね。それ以降、分裂によって増殖したキューブをⅡ型って呼ぶんだよ。これはプログラムさえ組めればある程度は不活性化できるんだ。まあⅡ型はⅡ型で厄介な特性があるんだけどねぇ」
少女はその小さな頭で一生懸命内容を覚えようとしていた。俺が教えるたびにコクコクと頷く仕草に思わず和んでしまう。しかし、遠くの方から4つの瞳から石化の光線が飛んできそうだったので、慌てて咳払いをする。
「コホン。どこまで話したっけか。そうそう、分裂によって生まれたキューブがⅡ型。そしてそれ以前の、あの大災害によって生まれた初期のキューブがⅠ型。これは誰にも壊せないんだ。これは知っているね?」
少女は今までで一番大きく頷く。そしてまだ幼さの残る声で答える。
「はい。それは知っています。あの時Ⅰ型の恐ろしさを事前に知ってさえいれば、こんな世界になろうとも人々は大勢が助かったのに。ママやパパも助けられたのに…」
しかし、その眼には怒りの焔が灯っていた。こんな小さな少女にさえこの世界は泣くことを許さない。泣いても何も解決しないと分かっているから。それに、涙はとうの昔に枯れている。あの世界が壊れた日に涙は全て流した。中にはそこで心が折れ、自ら命を絶った者もいる。しかし、今この世界に生きているものは抗うと決めた者達だ。だから少女の最後のつぶやきには何も答えず続ける。
「そう。そして最近存在が確認されたのがⅢ型。これはⅡ型を放置しておくと変化するんだ。Ⅲ型は―――」
ここまで話したところで、今までランタンを気絶させたことでショックを抱いていた隣の少女が口を開く。
「―――瘴気を出すの。だからその前に発見してIn-actコードを接続するのよ。 さっきはごめんなさいね。」
恐る恐る、まるで爆弾処理をするかの様な慎重さで話しかける。
「さっきはごめんなさい。私の名前はフェルミ。改めてよろしくね。」
大学の定期試験&就活準備で亀更新ですが、絶対に途中で逃げませんのでこれからもお付き合いください!!
物語自体の長さは長編予定です!