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Rober -奪い続ける者-  作者: 椎葉
第1期
9/51

第9話 【Flowering】

崩壊していく現実。

 目の前には、縄のようなもので縛られ気を失っている華憐達、そして(おそらく)SEOの男達。

「おやおや…おびき寄せる前にノコノコとやって来るとは」

鍵山が振り向いてそう言った。

「……俺が調べた時はお前らは3人班だった。1人足りないようだが?」

「有原君には本部に連絡して貰っているんだよ」

どうやら今は1人いないらしい。好都合だ。

「祐…お前はあいつらを助けろ」

「駆先輩は?」

「俺はこいつの相手だ」

工藤が、SEOWを展開させる。両者が睨み合い、緊迫した空気が漂う。

「……分かりました…!」

祐が縛られた仲間達のもとに走り出す。

 しかし工藤が剣を構え、行く手を阻んだ。

「お前の相手は………」

工藤の身体が蹴り飛ばされる。

「――俺だって言ってんだろ」

工藤が立ち上がり、駆が工藤と向き合う。

「ありがとうございます…!」

 祐は再び走り出す。

「おっと」

しかし、やはり鍵山が黙ってはいない。SEOW「ソルガ―」を展開し、攻撃に来る。

祐も攻撃しようとするが、祐は悲しいほど戦闘に不慣れだった。

 虚しく拳が空を切る。

案の定セオウで吹っ飛ばされ、転がる。

「祐!大丈夫か!」

大丈夫ではない。経験したことのない痛みだ。


しかし、仲間のため立ち上がる。何度でも挑む。

その拳はぎこちないものかもしれない。鍵山には到底当たらない。でも、振り続けた。

それ自体に意味があるように思えたから。

 力がどこからかみなぎる。しかし、空回る。でも立ち上がる。

汗をかき、何度吹き飛ばされようとも。

 全身が痺れた。何故こんなに自分は一生懸命なのだろう。

(あぁ、きっと)

きっと彼らのためではなく、自分のためなのだ。

 自分の居場所を守るため。

「アアアアッ……!!」

全身の力を振り絞る。立ち向かう。

「くどい……ッ!」

 しかし、セオウで肩を貫かれる。痛みで、身体が一瞬止まる。しかし、負けるわけにはいかない。

セオウと、鍵山の肩を掴んだ。だが、そこで力が抜けてくる。

 (なんで)

何故奪われなければいけないのか。

 「祐!」

駆が叫ぶ。しかし、その隙をついた工藤に斬られてしまった。

「くそっ…」

駆の口から血が流れる。

もう一撃というところを、避けて瑠魂を発現させる。

「おらぁッ!」

駆の瑠魂での攻撃は、工藤のセオウで守られた。

「………!」

ドン、と蹴り飛ばされるが、すぐさま体制を立て直し再び攻撃に移ろうとする。


だがその時にはもう工藤がセオウを構えていた。

「くっ……」

振り下ろしたところを避けて、祐のところにかけつける。

「駆先輩…」

「祐!」

「いけないなぁ」

鍵山がセオウで攻撃してきた。祐はその場に崩れ落ちる。

とっさに避けたが、後ろから攻撃しようとしていた工藤に気をとられ、太もものあたりに鍵山のセオウをくらった。

「ぐ………ッ」

だがその瞬間、なんと工藤が標的を祐に変えた。

「祐!!危ない!」

「………!」

工藤のセオウが駆の腹部を貫いた。

 「……………駆先輩ッ!!」

「祐……無事か」

「なんで………」

どうして。

「なんで僕なんかを…」

駆が、工藤のセオウを抑えながらいう。

「お前には、会わなければいけない人がいる……」

「会わなければ、いけない人…」

「なに、俺はこのくらいの傷どうってことない………」

居場所が、無くなっていく。

 自分は弱い。だから何も守れないのだ。

「ふッ………所詮貴様らは命を奪うだけのクズ。友情ごっこなど」

鍵山が笑いながら言う。

「吐き気がするよ」

「…………………ッッ!」

 なぜ奪い合わなければいけないのだ。なぜそんな世界なのだ。

分かりあうことはできないのか。決してできないのだろう。


 だったら、奪うしかないのなら。

 ――失うしかないのなら。

守るしかない。失わないように。


























「アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアッッッ!!!!」

祐が叫ぶとともに、右手に青いものが巻き付き、爪の形に変化し、さらに剣の形をつくっていく。

祐の眼が、大きく見開かれた。

 祐の瑠魂が、発現した。

もう失いたくない。

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