第4話 【Fantasy】
幻想の中で、生きてきた。
昨日は色々なことが起こりすぎた。師との出会いに、瑠魂、SEO…。
どれも突拍子もない話だった。
今日は土曜日。のびのびとできそうだったし、昨日の話を整理できそうだった。
*
「連続誘拐事件…どうも匂うね」
「ほぼ魂喰いの仕業といっていいでしょう、鍵山さん」
「…」
土曜の朝を物騒なワードを話題にして話す3人組。彼等はこともあろうにSEOのメンバーであった。
鍵山と呼ばれた男は、口の端を歪ませて笑みの形をつくった。
鍵山智、40代。このグループのリーダー格だ。
有原賢、20代。グループの中では、新人。態度は新人らしく、鍵山達を慕っている。
工藤徹、30代。無口だが、グループ随一の実力者。
「ここらへんに潜んでるわけではなさそうだね…隣の街の方にも行ってみるか」
「そうですね」
*
同時に、動き出すものがあった。
祐が本来通っている東京都C区にある翔良高校。その学校の地下用具格納庫で、話す複数の人影があった。
「ったく、あいつらもぶっとんだことするよな、自らこっち側に来るとは」
「喰うか?」
「いや、早まった行動は身を滅ぼす。世間も私たちの存在にきずいてきた頃だし。」
「こうなったのも、あいつのせいか…」
*
『お母さん、今日のご飯はなにー?』
何故だろう。
どこからか、子供の声が聴こえてくる。
『いただきまーす!』
それはどこかで聴いたことのあるような明るい声だった。それは、何度も耳元でリピートされる。
灰色の空、僕は透明な地面に立っていた。目の前には、テーブル、食事する親子。
ああ、僕もこんな生活が欲しかった。
ぼく?
気が付いたら、祐は椅子に座ったまま寝てしまっていた。疲労のためだろうか。
夢を見ていたようだ。自分は、食事する親子をただ眺めていた夢…。とても寂しい夢だった。
時計を見る。午前10時。散歩にでもいくか、と靴をはき、ドアを開けて外に出る。
空は曇っていた。雨が降る前に早めに戻ってこようと歩き始める。
足取りが軽い。雨のためか、街路には人気がない。
突如、いやな臭いが鼻をついた。吐き気が襲うほどの臭いだ。
この臭いは…まさか……!?
臭いのもとをたどってみると、そこは路地裏だった。目の前の角を曲がると、それがある。異臭に怯んだが、進む。
男がいた。背を丸めて屈み込み、こちらに背を向けて何かを弄っている。いや、弄っているのではない。
喰っているのだった。
「ひ…」
人食いの怪物。悲鳴がもれかけた。魂喰いではないのか…?
男はこちらに顔を向けてくる。気づかれた。
「お前は…」
顔は血で赤く染まっていた。何を言い出すのだろう。恐怖で言葉が出ない。
「翔良の…図書室によくいたやつだな…」
何を言い出すのかと思えば、自分のことを知っているらしい。となると、自分と同じ高校の生徒?
そして次の瞬間、彼の身体を赤い大きな無数の弾丸のような何かが貫いた。
「…………!!」
「喰う」恐怖を知る。




