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日陰男と高嶺の花の恋愛ジジョウ  作者: ナナモヤグ
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EP12


 娘に言ってやるべきことが父親にあるとは思うのだけれど、僕からも告げておくべきことはあるのだろう。

 僕は極端に云えばあまり対人関係においては強い興味を示さない部類タイプの人間だとは思うけれど、きっと遠藤さんは僕に"興味"を抱いている。

 きっとこれは自意識過剰だと言われても仕方が無いことだろうし、さらには大学校内で口を滑らせに滑らせようものならば僕は土に還ること間違いないだろう。

 だけれど、この遠藤さんが僕に対して興味を持っているという考えも間違えていないと思っているのだ。


 吊り橋効果という言葉があるが、まさしく現在の遠藤さんはそれに当てはまるのではないだろうか。


 それまで僕という人物が同じ大学にいたことすら知らなかった彼女である。

 それが見ず知らずの男子学生に危ない所を助けてもらい、さらには同じ大学に通う同級生とあらば興味が沸かないこともないだろう。

 ただ、彼女が"恋"としてなのか、"人間"としてなのかまでは定かではないといったところであろうか。


 いうなれば先の件においてはお試しでお付き合いをしましょうというお誘いなのかもしれない。

 ――が、いや……、斉藤君、冷静になるべきである。ここは早まるような思考を持つべきではない。

 これが勘違いだった時のことを考えると後悔に後悔を重ね、自宅で首を吊りたくなる衝動に駆られること間違いないのだ。


 ここで取り違えようものなら僕自身、吊り橋効果を感じていないにも関わらず吊る羽目になってしまう。一度、彼女は一体どうしたいのだろうかと冷静に遠藤さんの顔を見てみると、ニッコリと首を傾げて返事をしてくれるではないか。


 あざとい。

 木下さんに負けず劣らず――、いや正確にはヒステリックな彼女からはあまりにも想像も出来なかったあざとさである。

 今思えばお礼に私というあたりもあざとい。

 今思えば、初めて会った時の別れ際にした振り返りもあざとい。

 もしかすると僕は、斉藤君はあざとさフェチなのだろうか?

 ギャップ萌えとは違う、まるであえてやっているかのような仕草に萌えているのかもしれない。


 なんていう葛藤している風を装い、自身の性的趣味を認識するのもそろそろ止めにしよう。



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