EP7
僕は遠藤さんの何なのだろうか、これについては何度か考えたことがある。
確実に言えることは彼氏ではないということと、加えて言えることは友達とは程遠く知り合いが妥当であるということだ。
その時に考えた末の遠藤さんと僕との関係性は"わからない"という答えに行き着いたのである。
仮に僕が遠藤さんにとっての都合のいい玩具であるのなら後のことを考えればわざわざ家に連れてくるような真似はしないだろうし。
……いや、遠藤さんならやりかねないけども。
「何なのかという質問に対する僕の答えですが」
なんて答えるべきなのか、そのまま告げていいものだろうかと口を開いてからも考えていたが出任せを言うくらいなら有り体に答えるのが吉だろう。
「正直、わかりません」
「んん、わからない?」
僕の返事に眉をピクリと動かす遠藤父の様子が目に入り、選択を誤ってしまったのかもしれないと少々の後悔が押し寄せてくるが今更である。
「はい、わかりません」
それでも一度言ったことを撤回するわけにもいかず、押し通すようにもう一度答えた。
「友達でも知り合いでも、彼氏でもないと言うのかね」
「知り合いには少し当てはまるかもしれないですけれど、友達というほど仲睦まじいわけではありませんし」
だから彼氏ではないと断じて言える。
言い終えた後にチラリと視線を遠藤さんに向けると先ほどまでとは打って変わって退屈そうな視線を僕に浴びせていた。
どうやら玩具に不備があったようでご不満のようである。
そりゃあ酷使されたらどんなに良い玩具でも曲がらない方向に曲げられたら壊れてしまうよね。
今日はいろいろあったしヘトヘトだ、僕は壊れかけの玩具なのさ。
「ひどいわ斉藤君。あんなことやこんなことをした仲だというのに」
ただ、それを押し通すのが遠藤さんなのだということを僕は忘れていた気がする。
彼女は唇に指先をわざとらしく当てて、ソレらしい表情で甘く言葉を発する。
壊れたのなら壊れていない部位で遊ぶのが遠藤さんなのだ。
ところで急になんてことを言いだすのだろうかこの痴女は。
そんなフリースタイルな遊び方などした覚えが微塵もないのだけども。
「晴香が、あんなことや……こんなこと……?」
この父親は娘の冗談を往なすこともできないのだろうか。
この僕が、そんなに大それた行動を起こせるとも?斉藤さんだよ?




