EP6
さて、僕と遠藤さんのやり取りを見たこの父親は一体何を思って「仲が良い」と言ったのだろうか。
少なくとも遠藤さんとは手を取り合うような仲ではないと僕は思っている。
しかしそんなに仲は良くはないですよと、本人と親を目の前にして言ってしまうほど僕は空気が読めない男ではない。
「別にそうでもないわよ」
ところがまさに。
そう、今まさに。
僕が「そうですね」と肯定してあげようとしていた所なのに、この隣にいる遠藤さんが間髪入れずに否定しやがってくれたのだ。
僕を連れてきた娘本人が否定するってねぇ、どういうことなの。微塵でもお父さんの心理状況を考えてあげるべきだと思うのだけれど。
僕が女の子ならまだしも、娘が男を連れ込んでいるのに仲が良くないってそれ全然意味が分からないよね。
いや実際そこまで仲が良いわけではないのだけれどさ。
「そうか」
じゃあお前は何なんだと言いたげな表情で、遠藤父は口をへの字に曲げてしまう。
未だに手を握りっぱなしの僕の手がこのまま握りつぶされるんじゃないかと思うくらい、遠藤父の握ってくる圧が強くなってきた気がする。
あまり話さない分言葉は拳で語ろうのタイプか、この人。
折れる……、いや正確には折られる。
「依然お会いした時が初めてだったので、あれからまだそんなに経ってないですし確かにそこまで仲が良いわけでは……ないと思います」
苦し紛れに僕は急いでフォローを入れる。
嘘は言っていない。言ってないから!!力を強めないでお願い、折れてしまいます。
「君は」
冗談ではないけれど、冗談のように心の中で叫んでいるとまたしても変な間を作って遠藤父が言った。
「人の顔色を伺って言葉を交わすのが得意そうだね」
「え?」
突拍子もなしに槍を突き立ててきた遠藤父の言葉に僕は情けない声を上げてしまった。
「何、簡単なことだ。晴香がまるで君の邪魔をするように遊んでいることに対して君はここに来てからずっと目を泳がせている。晴香には怪訝の目を。私に対してはそうだな、例えるならば腫れものに触るような視線だ。あまり人の顔色ばかりを伺って様子を見るのは得策ではないと私は考えている。我が社にもそういった人材もいるにはいるが、客と会うような機会は与えないのだ。彼らは自分に自信を持っていない。だから他者の意見に合わせようとする。だが、それはそれで1つの良い個性だと私は思っている。周りに合わせるようとするため、時と場合に応じて正しい嘘をつくことが出来る賢い性格だと思っている。君はこうやって自分の意図とは関係なく晴香に邪魔をされても尚、正しい方向へと道を切り開こうとする能力がある。これらを踏まえて改めて君に聞きたいと思う」
そして一呼吸ついてから言った。
「君は晴香のなんだい?」
……めっちゃ喋るじゃないか遠藤父。
かつて剣聖を目指した男は今、英雄達の荷物持ちをしている
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ハイファンタジーとして投稿中です。日陰男を合わせて宜しくお願いいたします。




