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日陰男と高嶺の花の恋愛ジジョウ  作者: ナナモヤグ
36/87

EP1

次回更新予定を活動報告にあげました。

予定です

その後は4人でテニスコートへと向かい、私は一旦部室で着替えるために別れることとなった。


「こんにちは」


 女子テニス部の部室を開けると既に何名かの部員が来ており、着替えている人や寛いでいる人に挨拶を交わす。


「こんにちはー」


「あ、遠藤さんこんにちは。今日は頑張ろうね」


 日頃男子に取り囲まれているせいか大半の女子から目の敵にされてしまう私だが、幸いこの部活にはそういった人はおらず真剣にテニスに取り組む人ばかりである。


「はい、こちらこそよろしくお願いします」


 だから私も誠意を持って彼女たち……、この部活動に所属する部員の人には相応の対応をすると決めている。

 所定の場所に自分のカバンを置いて、中からいつもの白とピンクのユニフォームを取り出す。すると皺一つなく手入れされたユニフォームからはいい香りがしてこのまま顔を埋めたくなるが皆がいる手前、名残惜しいが諦める事にする。


「晴香ちゃーん、えいっ!!」


 ロッカーを開いてユニフォームを一旦扉の上にかけて今着ている私服を脱いでいたとき、背後から忍び寄る影に気がつかなかった私は酷く驚く驚いた。


「ひゃん!?」


 ガバッと後ろからお腹と胸の辺りを抱きつかれ、体がびくりと反応し変な声が出る。


「く、楠井くすい先輩!!やめてくださいといつも言っているじゃないですか」


「だってぇ私の肌がこんなにコゲパンになってるっていうのに晴香ちゃんってばこんなに真っ白だし、スタイルいいし触れない手はないよね?」


「意味がわかりませんし、私に同意を求めないでください!」


 顔が熱く感じるあたり相当私は赤面していいるのだろう。

 楠井くすいありさ先輩には何故か好かれているようでこうやってセクハラまがいのスキンシップを図ってくるものだから困った物である。


「しっかし、本当にすべすべだなぁこのっこのっ!!」


「あっ、ちょっ――やめっ!?」


 すると遠慮なく彼女は人の太ももを撫で始める。


「やめろ、ありさ。お前はおやじか」


 着替えも中途半端だった私は段々されるがままに乱されていると救世主が現れ、楠井先輩に拳骨を落としてくれた。


「あだっ!?」


 楠井先輩は私の身体にしがみついていた両手を離して、前かがみになって痛みの走るであろう頭部を抑える。


「――つぅっ!!」


「ありがとうございます、前野先輩……」


「あぁ、遠藤。今度からお前も遠慮なくありさのことは叩いていいから」


「あはは……、いや、それはさすがにちょっと……」


 助けてくれたのは前野篝まえのかがり副部長だ。

 

「かがりぃ、拳骨はないっしょ拳骨は!!そもそもこんなところで着替える晴香ちゃんが悪いと私は思うんだよね、肌チラつかせて触ってくださいって言ってるもんじゃんか」


「あほか……、部室ここで着替えなかったらどこで着替えるというんだ馬鹿もの」


 涙目になりながら訴えかける楠井先輩の言い分は改めて理解できない理不尽なものだった。

 それを一蹴りする前野先輩は現4回生が引退してから副部長となった女子のエースである。

 楠井先輩もレギュラー確実といわれている一人なのだが、日頃こうやって色んな人にちょっかいをかけては前野先輩に叩かれている。

 前野先輩がいない時は、誰も彼女を止めることが出来ずたちまち無法地帯となってしまうのがこの女子部室での問題である。

 郷に入っては郷に従えというが、さすがにこれは違うと思う。


「遠藤、今日の選抜の組み合わせだ。ロッカーの上に置いておくから見ておくといい」


「ありがとうございます」


 ようやく落ち着いて着替えを始めていると、前野先輩がそっと横から今日の対戦表を配ってくれた。


「ありさ、お前も早く着替えてコートに向かえ」


「はーい」


 それを合図に寛いでいた他の部員もそそくさと支度を始め、準備が出来た人から次々とコートへ向かって行った。

 私も着替えが終わり、さっそく対戦表に目を通す。

 すでに校内選抜の予選は終わり、今日が本戦となるため誰が出るのかは分かっているがこうやってトーナメント形式にされると何時なんどきもドキドキするものである。


 自分の名前を探し、早速1回戦の対戦相手に目をやると"楠井ありさ"という名前があった。

 そっと隣で着替えている楠井先輩に目をやると、にやけた目でこちらを見ていた。


「んふふー、気づいちゃった?そう、アレは晴香ちゃんからエネルギーを吸い取るための口実だったのだ!」


 手をワキワキと動かしなんとも下賎な考えを持つ彼女であるが、セクハラがエネルギーを吸い取る行為なのだとすればほぼ毎日エネルギーを吸われていることになる部員たちは大変である。

 楠井製の干物になるのも時間の問題かもしれない。


「晴香ちゃんが相手でも手加減はしないからね!ほいじゃ、先に行ってるからー!!」


「はい、よろしくお願いします」


 着替えてすぐにラケット片手に部室を飛び出す彼女はいつだって全力でチームのムードメーカーで、行動こそ奇抜であるが誰からも親しみやすい人柄を持つ。

 テニスでもパワフルなスタイルを得意とし、正直テニス面では私の一番苦手なタイプだ。

 それでも他の大学にいった旧友達と大会で会おうと約束したからには楠井先輩を破らねばならない。

 負けても敗者復活戦があるが、やはり1つでも確実にコマは進めておきたいところである。


 私も着替え終わり、気合を入れなおしてから対戦表と用具を一式手に取り部室を後にした。




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