EP4
大学敷地内ということもあり、あちらこちらにいる学生たちと僕と要は完全同化していてもはや風景の一部といっても過言ではないんじゃないだろうか。
けれど、そんな大自然に溶け込むカメレオンを見つけてしまうハンターがいたものだと僕を呼ぶ声により、ハッと後ろを振り返る。
「ごきげんよう斉藤君、橋爪君。こんな道の真ん中で立ち止まって、どうしたんですか」
透き通るような声がすぐさま僕の脳に発信源が遠藤さんである事を通達する。
「あぁ、遠藤さん。ごきげん……よう?こんにちは」
「やぁ、斉藤」
完全に遠藤さんを視界に捉えると同時に日笠さんが映る。
ともあれ挨拶をされたからには返さないわけにもいかないので、世間一般的な挨拶を返すことにした。
ところでごきげんようって、今時分使うの?
「こんにちは遠藤さんに日笠さん。今日テニスの校内試合でしょ?見に行くか行かないか一樹とちょうど話していたところなんだ」
「あら、そうでしたか。私も出るんですけどお恥ずかしいプレイを見せてしまうことになりそう……」
僕の知っている遠藤さんは顔を少し紅に染めてモジモジと手前で指をあわせながら"らしからぬ"発現をしてみせた。
(うわー、うっ、うわー)
えっ、え……?僕の知っている遠藤さんがすっごい女の子をしてる。
凄い、凄いぞ。こんなにも女の子って作れるんだねとこれには思わず関心してしまう。
あの堂々とした立ち振る舞いに、容姿端麗、才色兼備。そして新しく僕の中ではアホの子だと認識していた遠藤さんの新たな一面を見てしまった気がして、何故かこっちまで恥ずかしくなってしまった。
そして君は君のままでいいんだよと言ってあげたい。
すると、顔に出てしまっていたのかキッとこちらを睨んでくるものだから僕はすぐに無表情になるよう努めるのだった。
「それで、見に来られるんですか?」
この人、僕以外には補正がかかっているんじゃないだろうか。
「いや、俺は行こうかなと思っているんだけど一樹が乗り気じゃなくてさ。一樹が行かないなら俺もやめとこうかなって思ってたところなんだ」
要君、本当に君は空気を読めないよね!いや、一切の嘘をつかずありのままの真実を伝えてはいるんだけれど、本当馬鹿だよね!
「なに?斉藤、お前はお嬢様のテニスを見たくないのか?」
「や、見たいか見たくないかでいえばテニスは見たいかなーって思ってたところなんですけどね、前も言ったとおり人ごみが苦手でして」
あぁ、何後ろに手を回して頭をポリポリかくそぶりをしながら言い訳をしているんだろうか僕は。




