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日陰男と高嶺の花の恋愛ジジョウ  作者: ナナモヤグ
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EP3

「一樹、どうしてそんな露骨に嫌そうなんだ?確か檸檬レモンの事気に入ってなかったか。ただでさえ普通のライブでもチケットを取るのは至難な業だというのにさ」


 僕があまりにも乗り気じゃないことようやく察してくれたのか要が言った。

 自分でもなで肩が落ちているだろうことは判るのだから良い表情はしていなかったのだろう。


「いやさ、人ごみはあまり得意ではないけれど別にライブが嫌いってわけじゃない。それなりに楽しいしね」


 過去何度か要に連れられて行った事を思い出すが、ステージから放たれる光と音楽からはそれなりに射幸心を煽られたし柄にも無く気持ちが躍動した記憶がある。


「じゃあ素直に行くって言えばいいじゃない。せっかくの好意を無駄にする気?」


 すると要付き添いの女子の一人が僕にすかさず言った。

 この企画を我が物にしようとしているのか、僕にその気が全くないというわけではないことを知った彼女は眉間に皺を寄せ「早く行くって言え」と云わんばかりだ。


 これを期に要と急速接近なんておめでたい考えていたりするのだろうか。もし今の要が好きであるのなら、着いて行こうなんて野暮はやめておくことを僕は勧めるね。

 追っかけ(オタク)は豹変するからね、本当に。

 ライブが終わったら女子は先に帰ってしまっていたことなんてことはザラである。

 それでも彼は変な噂が一切立たない。

 これが開放的なオタクと閉鎖的なオタクの格差なのだろうか。


"あぁ見えて実はすっごいドルオタなんだよ"

"えぇ、きっもーい、幻滅したー"


 ところがこれが悲しきかなドルオタ男子に対する世間一般の見解である。

 しかし要に関しては現場ライブでの豹変具合に直面した女子は離れていくことになるが、それ以上に大学および日常生活を過ごす上でなぜか寄って来るのだ。

 コレに関しては、さっぱりわけがわからない。これが物語でいう所謂いわゆる主人公補正というやつなのだろうか。

 理屈や理論じゃないんだよ。


 そして今いるこの二人もライブ後、きっと要の横を歩く姿を見かけることは無くなるのだろうなと、どこかで察していた僕はだからこそ、手伝ってやろうなんて特別な感情を抱かないのかもしれない。


 まずは己の保身、だよね。

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