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日陰男と高嶺の花の恋愛ジジョウ  作者: ナナモヤグ
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EP2


 SORAのライブが行われる予定があることを知り、遠藤さんが一体どういう伝手ツテを持っているかも把握したところで要が次の疑問を口にする。

 

「でもどうしてわざわざ俺たちを?」


 そう、わざわざ自分たちを誘うメリットが彼女にあるのかどうかということだ。


 つい先ほど僕にお礼を言いに来たと言っていたし、大方人気アイドルユニットのライブに招待してあげるから先日の件はこれでチャラにしましょうといったところだろうか。


 SORAというグループ自体が若年層にはそこそこにウケが良く、余程音楽やアイドルに興味がない人じゃなければ誰しも一度は街中で耳にしたことがあるくらいに有名だ。

 SORAのファンじゃなくても聞いたことがある曲が何曲も流れるのだから楽しむことが出来ると踏んだところか。

 ところがどっこい。しっかりと檸檬レモンのファンなんですけどね?檸檬レモンが可愛いからね、仕方ないよね。


「先日斉藤さんにはお世話になりましたのでそのお礼にでもどうかと思いまして。関係者としての特別席も設けられますしもしご迷惑じゃなければの話なのですが」

 

 未だにテレビや雑誌など情報ツール越しにしかお目にかかったことがない本物の檸檬レモンに会えると思うと心が躍りそうにもなるけれど、遠藤さんや。

 ご迷惑じゃなければと言いながら「お前、ここまでしてやってるんだから当然来るよな?」と凄い目力でこちらを見つめてくるのはやめてもらえませんかね。

 そんなに脅迫みつめられると堅いと定評のある僕の口が勝手に「YES」と鍵を開けてしまいそうになる。

 NOと言える日本人になりたいよね。


「迷惑なんてそんなことないよ、むしろ良いのかなって思ってしまうくらいさ!」


「へいへい、ちょっと待ちなよ要君や」


 されど興奮ヒートアップしてしまった要は勝手に返事をしていくものだから僕は彼の行動と言動に一度ストップをかける。


「なんだよ一樹」


 少しだけ眉をしかめて僕に不満をあらわにする要であるが、君はあの時一体何をしていたのか、出来たのか思い出してごらんよ。

 あんなこと、こんなことがあったけれど今の様に目をキラキラと輝かせていただけじゃあないか。


「これは僕に対するお礼であって君に言っているわけじゃないことくらいは理解しているよね」


「ん?あぁ、だから当然行くだろ?」


 ん?あれおかしいぞ、要との会話がかみ合っていないぞ。


「いや、うん。なんだか君の中で自己完結してしまっているような気がするから言っておくのだけれどまだ僕は行くとは言っていないよね」


 女の子には気が使えて僕には気が回らないとはどういうことだい要君。

 そんなに図々しいやつだったのかね要君。


「一樹は行かないのか?」


 意外そうな顔をしてこちらに質問を返す要。

 その体だと僕が行かなくても君は行くみたいになっているけれど、多分僕が行かないとこの話しは無かったことになると思うんだよね。


「もしかして斉藤さんは、再来週"も"用事があるのでしょうか」


 すると遠藤さんも僕に確認を取ってくるが「お前再来週も本当に用事あんの?」と薄っすら彼女の後ろに闇を見た。

 せっかく綺麗な顔立ちをしているのに口元が引きつっているよ遠藤さん、こめかみのピクついた青筋は消した方がいいと思うな、うん。


「いや、これといった用事はないのだけれど人ごみは苦手でね」

 

「……」


 正直もう少し捻った返事をするべきだった思う。

 せっかくのお誘いの断り方としてこれほど情けない理由があるだろうか。

 例えるなら夜景の見える綺麗な場所へ行こうといわれ、高いとこが苦手だから辞めとこう提案されるような。

 遠方に出かけようとプラン立てしたのに、やっぱり乗り物に弱いから近場でという理由をつけるような。

 つまり物理的にはどうしようもない理由をつけてしまったせいで早々に遠藤さんの出鼻を挫かせてしまったのである。


「ちょっと!斉藤君、さっきから聞いてれば我がままが過ぎなくない?」


 すると要の連れて来た女の子の一人が口を開いて僕の対応に指摘を入れた。


「だよねー、ちょっとウザいよねー。せっかく遠藤さんが気使ってくれてるのにさー、ないよねー」


 続いて来店してきた時から合いの手をしてくるもう一人の女の子が言った。 

 うんー。その語尾の伸ばし方も中々にうざいものがあるよねー、と心の中で反抗するが声には出さない。そんなことをすれば余計に彼女達の反感を買うだけである。


「いえ、そうではないんです。斉藤君はお礼なんていいと何度も言っていたのにも関わらず私が厚かましく取り次いでいるだけですので、私が悪いんです」


 ところがこの事態を良くないと察したのか遠藤さんが己が悪いのだと自己犠牲を払おうとしてくるではないか。

 しかし見当外れでなければ僕はこの手を知っている。

 そう、元から支持を得ているような彼女がさらに有利に物事を進めていく上で必要なこと。それはすなわち圧倒的に相手を言い包め、周りの味方を強化する事だ。

 RPGで言えば支援職、戦国物で言えば軍師。

 味方の士気を上げて決して倒されてはいけないポジションに立つことで優位性を高めるのである。


 対する僕はというと味方かどうかわからないイケてるメンズが一人。 


 ……!!


 案の定、その言葉に一同は遠藤さんに視線を奪われた。


 えぇ……やっぱり行かないとダメなのかい?


 

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