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我が家より懐かしい職場

ああ、我が主は本当に美しい!

憂い顔からこちらに視線を寄越す様から、気づいて微笑むまで、全部お美しいです!

「おかえり、クレム。」

「殿下!二年もの間おそばを離れて申し訳ありませんでした。

さら二年もの月日頂いたというのに何の成果も得られず…自分が情けないです!」

そう、あの後あれをさっくり置き去りにした私は、家には戻らずまっすぐ王城に来たのだ。

いきなりなんの約束もなく現れた従者にも微笑んでくれるなんて、なんてお優しい!

「殿下ー、宰相が呼んで…え、クレム!?戻ってきたのか?」

ノックもなしに扉から現れた赤毛の騎士。

刺客以外でノックなしで入れるのは殿下も入れて四人だから、彼は…。

「ドム…なんか縮んだ?」

「縮んでねえよ!お前…二年会わない間にまた背伸びたのか。」

ドムの目線は私よりほんの少し低い、

どうやら二年会わない間に身長を逆転される悲劇は怒らなかったようだ。

「くそ、なんでお前が伸びて俺が伸びないんだよ…。

俺だってもう18歳だぞ!いい加減可愛いから卒業して、嫁探ししたいんだよ!」


…ドムは知らない。

童顔のツリ目で男にしては低い身長から可愛いと言われ続けるドムだが、

男女問わずさり気ない優しさ-下心ゼロ、ほぼ無意識-を発揮するために王宮ではかなりの人気を誇る。

元々ドムが所属している近衛は王宮内の侍女に受けがいいため、差し入れの数を自分の人気と認識していない。

と、これだけならマスコット的な可愛がり?と思われがちだが、実際はかなりの数の縁談が来ている。

低いと言っても一般的な女性よりは高く、伯爵令息で跡取り、しかも無意識に紳士的(笑)

男が好む華奢で儚げな美少女達に特にモテるという事実。


うん、基本背は高いほうがモテるけど、あまりに差があると色々怖いらしいんだよね、小さい子には。

その点ドムはそういう小さい子達がちょっと上目遣いすれば視線が合うからね、しかも下心なしの目線。

社交界で三大美女と言われてる、”金の花姫””銀の人形姫””青の人魚”のうち、

人形姫と人魚がドムにベタ惚れで婚約者になるため争ってる段階だし…逃げられないだろうから、嫁探し無理だよ?


「そういや結婚は決まったのか?」

「いや、捨ててきた。」

「捨てて!?お前何したの!?やっぱり投げたのか!?」

「失礼な、投げてない。…蹴り倒したけど。」

「さらに悪いだろう!…もうお前結婚諦めたら?

ハルディリート家は跡取りいるし、お前は自立できてるんだから、無理する必要ないぞ?」

「私も今回の件で痛感した…結婚向いてないって。」

義務を放棄するのは心苦しいが、実際親も期待していない上に私には荷が重いらしい。

…あんな意味不明な生き物と一生を共にできる貴族女性ってすごい。


不意に私の頭に置かれた手。

誰なんて考えるまでもなく、我が主が私の頭を軽くなで――、


「それがクレムの選んだ答えなら構わない。」


神がいます、まごうことなき神がいます。

通常の人間はこの殿下の神の如き慈愛を受けれないなんて…!殿下一生ついていきます!

「殿下…決めました、私はもう公だけでなく、公私ともに殿下に使えます!」

「…それっていつもと変わらなくね?」

ある意味私たち3人は常に一緒だからその通りだけど、心意気が違うんだ!

「公私ともにか…そうだな、では来週のパーティで私のパートナーを務めてもらおう。

2年の間にドレスの着こなしや、ダンスを頑張ったと報告が来ているからな、楽しみだ。」

「お!クレムのドレス姿ってマジ!?面白そう!」

「来週ですか…今から仕立てるのは無理ですから、手持ちから探してきます。」

16年間の鬱憤を晴らすかのごとく、

2年で一生分のドレス作られたんじゃないかな…母上やりすぎですよ。

「そうだな、色だけ合わせよう。

クレムはやはり黒か?しかしそれだと全体的に落ち着きすぎて見るな。」

「いっそ白とかどう?なんかクレムってだいたい黒服だよな…。」

「返り血とか目立たないから。」

というより、殿下もドムもディーも黒服多いよ。

殿下はマントが白だから必然的に濃い色、ドムは近衛の制服白い反動か私服は黒ばっかり。

「…帰ってきて早々になんて会話してるんですか、あなた方は。」

「「「ディー。」」」

ナンバーワン黒が帰ってきました。

黒の服に黒のマント、飾りは銀でお腹の中も真っ黒のALL黒なディー。

「クレム…人聞きの悪い事考えないでくれますか?」

地獄耳ならぬ読心術で真っ黒笑顔、勝てる気がしません、精神的に。

「まったく、君は相変わらずですね。

2年の間に少しは令嬢らしくなるかと思いましたが、変わらないようで。

…ああ、そういえばアレックス殿が探してましたよ?

屋敷の方に使いをやったら、君付きの侍女に城に行ったと言われたと。」

「師匠が?…そういえばセンティリミア候爵の件頼んだままだった。」

「センティリミア候爵?…微妙に影の薄い人のいいおっさん?」

相変わらずドムの人物評価は的確かつ、容赦がない。

まあ実際に候爵って肩書きが無ければ目立たない人なんだけどね、小心者かつ堅実的な。

「さて、それじゃちょっと行ってきますね。

あ、殿下にお願いがあるんですが、帰ってきたら時間作って頂けません?」

「構わない。

まあ、その件(候爵)が関わっているならある程度予想はつくがな。」


ドムは盾、ディー頭脳、そして、私は殿下の剣である。

殿下を煩わせる人間を排除するのも私の役目。

その判断に私情が含まれるのは認めざるえないが、そんな事とうの昔に吹っ切れた。


拝啓、同じ傷を持つご先祖様。

私は自分の世界を守るために戦います、あなたが仰った通り譲れないから。

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