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嫌いな物

私は青い花が嫌いだ。

青色が好きだから花も青いのが好きと思われがちだが、実際は毒草が多かったので嫌いだ。

ええ、食卓に青い花ばかり出た時もありますよ?毒耐性つけるために!

ちなみに私とディーとドムは青が好きだけど青い花嫌いで、殿下は青自体が嫌いである。


その青い花が…大量に目の前にある。


「パーティにはエスコートできなくて済まない。

お詫びに湖に誘いにきたんだが、どうだ?」

そう言って彼は私が大嫌いな青い花の花束を差し出してきた。

うん…なんでピンポイントで嫌いな物持ってくるんだ婚約者殿?嫌がらせ?

「クレメンタイン嬢?」

「虫酸が走る。」

「え?」

「私青い色の花が嫌いなんです、折角の花束ですが処分してください。」

夫婦生活は長い、まだ18年しか生きてない人生の倍以上ある。

それなのに好きな事、嫌いな事でお茶を濁す気はない。

折角用意した花を無下にする嫌な女と思われようが、好き嫌いの主張はするべき!

「ク、クレメンタイン嬢…。」

「なんでしょう?」

「その、俺は君を思って…。」

「お気持ちは分かりましたので処分してください。」

「…。」

唖然としてる婚約者殿の手から侍女がさっさと花束を抜き取り、捨てた。

「それと湖ですが、気分でないので街に行きましょう。」

「街!?」

「ええ、騎士団の方とは行かれないんですか?」

「俺たちはともかく、君は女性だ。

貴族の令嬢が街になど行って危ない目にあったらどうする、それに評判も…。」

「ドレスで行くわけじゃないんですから問題ありませんよ。

そもそも街に行ったぐらいで落ちる評判なんて元々ありません。」

王宮のほうが遥かに危険地帯だし。

「しかし…。」

まだ渋る婚約者をさくっと馬車に運ばせる。

無力そうな侍女二人にいきなり持ち上げられた騎士(笑)は呆然自失だ。


焼きたてのパンを上下二つに切り分け間に具、今回は豚の燻製肉とオニオン。

それに最近巷で流行りだしたマヨネーズソースをはさみ、オーブンでこんがり焼く。

王宮で暖かい物を食べたい場合は自分かディーが作るしかないが、街だとこんな手軽に焼きたてが食べられる。

特に最近の露天は注文してから焼くから本当に美味しい。


私が三つ平らげた隣で、婚約者殿は未だ手の中のものを凝視している。

騎士団の中でも黒獅子と白鷲は実戦が多い関係で貴族平民が入り乱れた隊のはずだが、

どうやら副団長である彼はあまり平民と付き合いがないようだ。

「美味しいですよ?特に焼きたてが。」

「…こんなテーブルもないところで食事…?」

「それ、戦場で言えるんですか?騎士団の遠征とかどうしてるんですか?」

「もちろん簡易テーブルを作って食事を取る、殿下に野蛮な真似はさせられないからな。」

…うちの殿下は週一でここに来てますが。

「だいたいなんだ、この粗末な食べ物は。

あんな露天では作った人間も本当に信用できるか分からないだろう、君はもっと気をつけて行動してくれ。」

吐き捨てる。

恐らく、花を捨てられた時からイライラしていたんだろう。

あろうことか、彼は折角買ったパンを道に投げ捨てた。

「アイザック」

「街の北部に行けば貴族御用達の店がある、今から--。」

彼の言葉が最後まで放たれることはなかった。

なぜなら彼はたった一度膝を蹴っただけですっ転んだ、騎士団の実力が甚だ不安だ。


色々言いたいことはある、

食べられる物捨てるなよ、嫌いなら寄越せとか、道はゴミ箱じゃないとか、

まあ、こちらを睨みつける彼を見たとたん一言で終わったが。

「帰る。」

「ふ、ふざけるな!さっきから君は一体なんなんだ!」

「アル爺、へんな客連れてきてごめんね、また来るから。」

「よくある事さ、またおいで。」

後ろであれが何か騒いでるけど無視。

とりあえず、あれが捨てた物は勿体無いけど、ゴミ箱に。

作ってくれたアル爺にはきっちり謝罪しておいた。

ああ、そういえばあれは知らないだろうけどアル爺は元王宮料理長。

二年前に孫に継がせて、引退してから余生で露天始めたんだけど、

子供の頃からアル爺の料理で育った私達は懐かしくてついつい週一で来ちゃうんだよね(笑)


拝啓、至上なる我が主、チェスター・アンブローズ・エルト・アーディシア王太子殿下。

どうやら自分は結婚向いてないので、投げて職場に戻ってもいいですか?

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