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婚約者

婚約者候補との顔合わせ…死ぬほど気乗りしない。

父上の仰ることも分からなくはないけど、理性と本能は違う!

これが第三王子(第四王妃息子)や第一王女(第三王妃娘)の派閥ならまだしも!

よりよってあの憎しみしか沸かない第二王子…わりと本気で投げそう。

人投げるくらいなら、縁談投げても良くないか?

そう思ったんだけど…。


「お姉さま綺麗ー!」

「ああ、ああ、あなたがこんな着飾ってくれる日が来るなんて…!」

…背後で無邪気に姉の晴れ姿を喜ぶ我が天使こと妹、ぴょこぴょこ跳ねる妹の背に羽が見える…。

感動の余り泣きじゃくる母…人前で動かない表情筋がお留守すぎる!

この二人の存在を思うと逃げれない!

確かに私は7歳で王城にあがって以来、2、3年に一度里帰り。

しかも王城でも働いてるからドレスなんてほぼ着たことがない母親泣かせ。

だからってあそこまで感動しなくても…。

「クレメンタイン。」

涼やかな声と美貌、父上でなく母上似て美丈夫、おまけに父譲りの善人の雰囲気を持つ兄が楽しげに微笑む。

「そんな緊張しなくて大丈夫だよ。

もし相手が嫌だったら振ってもいいんだから。」

爽やかに問題発言しやがった。

「…仮にも伯爵令嬢が候爵令息振るのは不味いんじゃ?」

「大丈夫、縁談持ってきたのはあちらだし、王太子の命令って言えば万事問題ないでしょ?」

「殿下を巻き込まないでください!」

「いや、殿下からお前が嫌そうなら自分の名前を使えって手紙が来てるよ?」

「殿下ー?!」

不味い殿下の対私専用スキル、過保護が発動していたか!


この国で好まれる色彩は明るい色をした金か銀の髪、

瞳は青、王家独自の蒼-通常の青より色濃く、なぜか光を宿して見える宝石のような瞳-に近ければ近いほど好まれる。


その基準で言えば、目の前の男はかなりの色男だろう。

淡い金の髪に、黒に近い濃い目の青、しかも現候爵の若い頃に生き写しの美丈夫。

さらに言えば黒獅子の副団長ともお飾りの実力では済まない。

おまけに候爵家の跡取りで、今年25歳という若さ。二物三物与えられすぎてて若干イラつく。

「クレメンタイン嬢?」

「何でしょう?」

「あまり気乗りしていないようだが…やはり仕事の話などつまらなかったか?」

「いえ、気になるので最後まで。」

「ああ…?」

不可解そうにこちらを伺う視線に気づいていたが、そこはガン無視で。

実際、彼が話す”仕事の話”は有意義なのできっちり記憶している。


黒獅子騎士団は現在第二王子が団長を務めている(実力はなくはないが、団長クラスの実力はないのでお飾り)

王太子以外の王子は何かしらの役職に就くのが普通だから、それ自体はいいんだけど。

第二王妃が溺愛していたせいで幼少期に面識がなく、初めて会った時は第二王妃存命で完全敵対同士。

おかげで黒獅子の情報は第一王子陣営にはさっぱりなのだ。


目の前の男は私から見ても腹の探り合いとは無縁の、昔気質の騎士。

義理堅いというか、考えが古い、または固い?

恐らく第二王子の陣営から抜けることはないが、婚姻相手も裏切れないタイプだろう。

…こういった相手は主人の安心を餌に飼い慣らすのが好ましい。

とディーがいい笑顔で言っていた。


詳しい手段は知らないが、

要するに第二王妃とその故国の後見が無くなった王子の命と地位を保証してやれば、裏切らないという話だ。


蛇足だが、第二王妃の故国…隣国を挟んだ大国は、

殿下を暗殺しようとして自慢の魔法師団の8割と竜の住む古地を失っている。

竜がいるが宝石が産まれる特殊な古地はかなりの財源だった。

殿下を竜に殺させようと、わざと安全地帯以外に招待し、ダメ押しで魔法師団と挟み撃ち。

名目としては、

”安全地帯以上の奥に進んでしまった客人が、竜討伐に来た魔法師団と遭遇巻き込まれて死亡。”

笑えるぐらい馬鹿な作戦だ。

確かに、魔法師団と竜を同時に両方を倒せる人間がいなければその望みは叶っただろうが、

結果は殿下の-アーディシア国の黒騎士、アレックス-恐ろしさを周辺諸国に知らしめただけだった。

ああ、さらに殿下の私領に宝石が産まれる飛び地が加わっただけかな?(笑)


かの国はこの一件が原因で軍がかなり衰退、魔法師団は未だ再編できないほど。

自慢の魔法師団の損失と、急な増税への不満が内乱を至るところで勃発させ、我が国に口出しできない状態。

なるほど…つまり目の前の男は自分の主のために私と結婚する気なんだな。


「クレ「分かりました。」」

丁度仕事の話も終わったようだし、そろそろいい頃合だろう。

「クレメンタイン嬢…?」

「お話をお受けします、アイザック殿。」

そうだ、私が殿下の為にしか生きられないのだから、相手も自分の主のために生きればいい。

「…まだ、一度会ったばかりなんだが。」

貴族の見合いなんてそんなものだろう。

一度も会ったことのない許嫁に嫁いだ侍女なんて山ほど知ってる。

お堅い騎士に、少し夢見がちと入れておこう。

「私は直感で行動するタイプなんです、生理的に無理なら即お断りします。」

「生理的…それは俺が好みだったと解釈しても?」

「いいえ?」

「は?」

「嫌いでない、夫婦になっても大丈夫かな?ぐらいです。」

好みだけで結婚が決まるなら、貴族制度なんぞ崩壊してるわ。

少しじゃなく、だいぶ夢見がちか?運命とか言いだしたら一度池にでも投げよう、うん。


拝啓、懐かしき戦友、ドミニク・エンディミオン・コーラスタ伯爵令息。

貴殿が仰った”ご愁傷様”なお相手が決まりました、貴殿とは大分違うタイプの騎士なようです。


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