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架空職業・監視屋ときお『MEMAME parfait』

作者: 日魚ときお

超巨大国際都市、東京。通称帝都。

ここには『仕事屋』と呼ばれる者たちが人知れず潜んでいる。

『監視屋』『護り屋』『奪い屋』『運び屋』『修復屋』…。

あるものは異能で、

あるものは知恵で、

あるものは技術を使い、

彼らは帝都に蔓延る悪意と戦う。

渦巻く光と闇の中、『仕事屋』は確かに存在している───。



診断メーカー『仕事屋さんになったー』から触発され、Twitter上で投下したストーリーを、編集、加筆したのものです。

Twitter上では『#架空職業』のタグ付きで投下しています。


【診断結果】

TOKYOは監視屋です。性別は男、桃色の髪で、変態的な性格です。武器は不明。よく一緒に仕事をしているのは掃除屋で、仲が悪いのは奪い屋です。

http://t.co/T57mAsrH


監視屋ときお

張り付いたような笑顔が特徴的な、長身の監視屋。髪はピンク。謎が多く、不気味な噂が絶えない。そら豆に手足と一つ目がついたような不思議な生物『メマメ』を使役する。壊れた玩具のような、ほのかな狂気を身にまとっている。


奪い屋豆太

赤いピンヒールブーツに深緑の巻き髪が特徴の奪い屋。それぞれ効果の違う18個のナックルを使い分ける。恵まれたスタイルの目を見張るような美女なのだが、本人はあまり自身の容姿に関心がなく、色恋沙汰にも残念なほど興味がない。和菓子(特にみたらし団子)が好き。

「そう言えば、この子達の食事はどうしているんですか?」

和風パフェに盛られたくず餅をプニプニとスプーンでつつきながら、豆太はふと思いついた疑問を向かいに座る濃桃髪の男に投げかけた。

その目の前にはメマメが数匹、二人の様子をパチクリしながら見ている。

「ン?ふぁー」

チョコレートパフェに刺さっていたウエハースをもぐもぐしながら、ときおはジェスチャーする。

「食べてからでいいですよ」と豆太がいうのと、ときおがごくんと飲み込むのは同時だった。

「アぁ、コイツらは、食ベテも食べナくテもいーンだ」

「そうなんですか。下着を食べるので、てっきり食事が必要なのかと思ってました」

そう言って再び豆太はくず餅をプニプニする作業に戻る。


少しわかりにくい裏路地にある、昔ながらの喫茶店。

その片隅で、豆太とときおはパフェをほおばっていた。


初来店時は何やら怪しい二人の出で立ちに遠巻きだった店主も、毎回甘味ばかり食べ、甘味処の情報交換ばかりしている様子に、『甘党のちょっと変わった常連さん』と認識したらしく、今では少し奥まった席を二人のためにあけておいてくれるようになった。

そのおかげで、二人は他人が聞けば首をかしげるような話も、割とおおっぴらに話すことができる。メマメもしかり。


「とコロでさっキッかラ何やってンの?」

「感触が心地いいもので、つい。…そう言えば、この前言っていたポップコーンは食べたんですか?」

「アぁアレ?」

手についた生クリームをべちょり、とメマメにつけながらときおが答える。

「まダ。キョーミはアるけど、行列に並ぶノがメンド。落ち着イテからダな」

「そうですか」

「ポップコーンよかパンケーキ食いタい」

「確かにあなたはそちらの方が好きそうですね」

「ソう見エる?」

手に残った生クリームを舐め取りながらたずねる。

「ええ」

傍らでは生クリームをつけられたメマメが、ときおの真似をするかのように顔(?)についたそれを手で取って舐めていた。

するともう一匹がさらに真似をして、クリームを舐める。

ふふ、と豆太の口から笑みがこぼれる。

生クリーム付きのメマメは、いつの間にか他のメマメに囲まれて試食会状態。


「生クリームは食べるんですね」

「ンー、ッツか、なンでも食うンだ。オレが食っテるもンは基本食イタがルな」

「真似がしたいんですね」

「分かンね」

「学習してるんでしょうか?」

「サぁ。デも変なコト覚えテクるヤツたマニいルな。組体操トか」

「組体操…」

この小さな生き物がちまちまそれをやっているのを想像して、豆太はクスクス笑う。

「オマエも変わってンネぇ」

メマメをぶにに、と指でつつきながらときおも口の端を笑みに歪める。

「『小さきものはみなうつくし』、です」

「ソう?www」

ぶにぶにぶに。

今度は親指と人差し指でメマメを弄ぶときお。

まるでグミのような弾力でメマメの形がくにくに変わる。


ときおにとってメマメは使い魔。

いうなれば主従関係のはずだが、豆太が見る限り他の仕事屋のそれとはどうも違う気がした。

こうして雑談をしている時のときおとメマメの戯れは、どちらかといえば飼い主とペットの関係に近い。

先ほどの『組体操』も、メマメはときおに褒めてもらいたかったのではないだろうか。


『見て見て、こんなこと出来るようになったよ』

──そんな、心の声が聞こえてきそうな。


「…ペットというより、子供…?」

「ン?なニ?」

「いえ、こっちの話です」


「ソういやオマエ、グラノーラはドうナったン?予約出来テも2ヶ月待ちってアレ」

「申し込みました。ギリギリ枠が空いていたので」

「オ、マジで?手に入っタら少し分けテよ」

「ヨーグルトとアイスクリームをそちらで用意していただければ、いいですよ」

「ナニそれ」

「その組み合わせで食べるのが1番オススメだそうです」

「へエぇ」


残り少なくなったパフェの容器の下で、満足したのか、メマメがうつらうつらと舟を漕ぐ。

甘味談義に花を咲かせながら、暖かな午後は過ぎていった。



メマメはかわゆい、かわゆいは正義、よってメマメは正義。

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