2
「…で、そのガキどもを逃がした、だと?」
「はい、すいませんでした、アニキ!」
全く、どいつもこいつも…
しかし、予想通りだ
「おい、キゼ!例の『あれ』はどうなった?」
「はい、完璧です」
「そうか…スベ、ちょっと来い」
「へい、なんすか?」
近づく スベ
「お前、死刑」
「そん」
な、お慈悲を、と言う前に首を切り落とされた
「キゼ、これでチャラにしてやる。さっさと連れ戻して来い!なんなら、『Level45』を総動員してもだ。分かったか?」
「了解です…しかし、何故《光の演奏家》を捕まえる必要があるのでしょうか?」
「…キゼ、それを聞くのか?」
「いえ…ただ、他のやつと言い、固執しすぎているように」
「これ以上喋るなら、舌落とすぞ」
俺が固執してるのは、あのお方の指示だからだ
_________________________________
「…で、夜のことは信じたとして、この状況の説明は?」
「「…無いです」」
この状況、即ち、『少女が裸』についてだ
「わ…私が起きた時に…傷の確認をしようと服を脱いだから…その時に…」
声が震えてるし
「ゲ・ン・キ!!」
いやこれ、自業自得だろ!
「…分かった。俺がアビリティを使って記憶から消すよ」
「そ、そんなの出来るの!?」
「出来る…ようになっただけだ。前ならできない」
事実、Level80になった俺は、使えるアビリティが増えた
---------------------------------------------------------
アビリティスロット:3+2
使用アビリティ:完全処置|気まぐれ|加護|記憶操作|(未設定)
使用可能アビリティ一覧:
索敵
追跡
転移
強化
回復
補正
治療
瞬発
気配
知力
加護
暴走
製作
気まぐれ
new! 記憶操作【Level UP ボーナス!】
new! 催眠術【Level UP ボーナス!】
new! 完全処置(回復+治療の使用)【回復+治療の使用回数】
---------------------------------------------------------
「いいな〜、それ」
「…じゃ、やるか」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「…あれ?今なんかしたっけ」
「おいらもなんか忘れてるような」
「…本当に?」
「あ、カナミ!なんでここにいるんだよ!!」
「…まあ、演技ができない スザカ もこれだから大丈夫!」
「なあ、何のことだ?」
「深読みすると、殺すよ?」
「「はい、すいません!!」」
「…フフッ」
何故、少女もここに?
_________________________________
釈然としないが、まあいいか
それより、早くこのアビリティを使って見たいな《催眠術》を
「なあ、スザカ。催眠術かかって見ないか?」
「おいらが? かかりにくいぞ、きっと」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ものの十秒でかかった スザカ は、スライム討伐に行かせた
「さて、あんたの名前は?」
「わ、私は『マキ』です」
「じゃあ マキさん、先に言っときますが、今からあなたに《催眠術》を使いますけど、大丈夫ですか? 無理に聞く気はないので」
「そ、それってどこからどこまで…」
「聞ければ全部ですが、制限だってできます」
「分かりました」
「大丈夫よ! マキちゃん。私が見てるから」
「…本人もこう言ってますし、リラックスしてください」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「では聞きます。マキさん は何故あそこに?」
「…逃げてたのよ、追っ手から」
「…口調が変わってるような……続けます。あなたは何から逃げてたのですか?」
「…闇業者『デッドリー』からよ」
「デッドリー…」
ボトッ
コップを床に落とした カナミ
「どうした、知ってるのか?」
「…いや〜、手ェ滑っただけよ〜」
「それならいいが…で、なんで追われてたんだ?」
「それは…わからないわ」
わからない?
よほど聞かれたく無いことは聞けないから、それか…
あるいは本当に教えないのか?
「あなたは、聞きたいことはありますか?」
まあ、聞けなくてもおかしくは無い…はずだった
「私の口調、変ですか?」
どうやら、口調を気にしてるのか
怒ってるか、軽蔑したような話し方を気にしてるようだ
「なんでかな?」
催眠術は聞き続けてるようで、理由を言った
_________________________________
昔、普通の親の元で誕生し育った マキ
しかし、この村のしきたりで マキ は、誕生日がたまたま崇められてる日だったことにより
お嬢様扱いしてきて
外も出られず
マナーの指導をされ
神の子と呼ばれ
たたえられた
そんな中で、見下すような口調が身につく
当然怒られ、直さなかったりするだけで村が騒ぐ
私は人形だった
そして、デッドリーが襲って来た時
どうにかしてください
助けてください
助けて、マキ様!
助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて………
15歳の普通の私に何が出来るの?
答えは残酷だ
あなたは神の子ですよ。普通の人間じゃありません
そうだ! マキ様が救ってくれよ
一人の大人が言う
マキ様を渡せばいいんだよ! そうすれば助かるよ!!金目のものなんて無いんだ
そうだよ、救ってください マキ様
マキ様、マキ様、マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様マキ様…
両親もこんな気分だったのだろうか
両親は二年前、自殺した
まだ大人でない私に何が出来るのよ?
私は普通なのに、人間なのに…
デッドリーに行ってからは、余計辛かった
村に捨てられ
ご飯もろくになく
反抗的に見られると叩かれ
叩かれるのが嫌で、村での上品にする指導を実践
男の見る目がいやらしく
そしておととい、男達は手を出して来た
二人掛かりでおさえられた
全身触られ
胸を揉まれ
服を脱がそうとして来た
私は抵抗した
運がよく、おさえてた片方に蹴りを入れて、残りには股間めがけて蹴りを入れた
そして逃げた
走った
一日中走った
空腹はあった
体力の低下もあった
怪我もした
そして力尽きた