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「おい、ゲンキ。起きろ」
「……うーん」
ようやく目が覚めたようだ
「…あれ? ここは?」
「おいら達の部屋だよ」
「そっか…てか、あれ? どうして気絶してたんだ?」
「あー、立ちくらみじゃないか? きっと」
実際には、【アビリティ:記憶操作】を使った結果で、あの時の記憶がない
「…なんか忘れてる気が……」
「気のせいじゃないか? それよりメシ食わねーか?」
「お、おう」
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今回のメシは、幸か不幸かおいら達の特産名物を使った『クニャスミパスタ』だった
「わーい! ふるさとの味だー!!」
「…黒いわね。食べれるの、これ」
「マッキー、酷いよ! 私たちのふるさとの味だよ!!」
「ご、ごめんごめん カナミン! …見た目じゃないものね」
パクリ
「…す」
「「す?」」
「すっごくおいしーーーー!!」
ばくばく食べる マキ
負けじとたべる カナミ
食の進まない ゲンキ
「どうした、ゲンキ?」
みなが中止して ゲンキ をみる
「…………」
「おい…」
「…………」
「ゲンキ?」
「…………」
「どうしたのよ?」
「…思い出した!」
突然立ち上がった
「ど、どうした ゲンキ!?」
「思い出した…あのクニャスミ野郎どもがァァァァァァァァ!!」
どうやら、ゲンキ 程の記憶操作は出来ていないようだった
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言い忘れてましたが
各ブロック戦 決勝残し→一日目
各ブロック戦 決勝戦→二日目
決勝 一回戦(前半戦)→三日目
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決勝 一回戦(後半戦)
カナミ達 も既に前半戦で終わっているため、宿でダラダラしていた
「スザカ、コーラ」
「あいよ」
「スザカ、本」
「ほれ」
バタン
宿のドアがいっぱいに開いた
「あんたら! 買い物行くわよ!!」
「「却下」」
さすがの スザカ も、即答だった
「ひどくな〜い!?」
「ありえな〜い!?」
「「ひどくもありえなくもない!!」」
「…クッ、頑なね」
「そうね」
明日だって大会あるんだ、休むの当然!
杖とハープが見えた
「「だったら––––」」
「「【アビリティ:転移】!!」」
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同時刻 闘技場
「赤コーナー【ダウザー】!」
巨体が出てきた
「白コーナー【ザイガ】!」
「レディ・ファイト!」
巨体が攻めて来た
掴みかかる手を押さえた
「フン、そんなひょろひょろで俺様に勝てるとでも!」
「……………」
「ハン、声も出ねーか!」
そのまま押しつぶしてくる
「貴様はこれで十分なんだよ!」
「…それはこちらのセリフだ」
腕を片方引く
当然、のしかかって来た ダウザー は上体を崩す
しかし、なれているからかすぐに持ち直す
「フン、なかなかやるな! そんなやり方されたのはいつ以来か!」
「……………」
どうやら戦いになれてないやつとばかりしかやってないのか?
「しかし、ここまでだ!」
「…………!?」
いきなり足を崩して来た
距離をとった
「フン、これでどうだ!」
と、奴はポケットからメリケンサックを出す
「…小物が」
聞こえてないのか、陽気に殴りかかる ダウザー
「…つまらん」
キン…
…チン
「う…そだ……ろ」
バタッ
奴は腹から血を出し倒れた
いや、死んだ
「…え、は、はい。見事な早業で撃沈!勝者【ザイガ】!!」
本当につまらん
こんなにも簡単なことに気づけないのか
やつなら気づけるはずだと言うのに
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同時刻 街角
「コラー! ゲンキ、何処ーー!!」
「往生際悪いわよー、ゲンキー!!」
走ってく二人
「…あっぶね〜」
「ゲンキ、お呼びはお前だぞ。モテモテだし行ってこいよ」
ポリバケツに入ってる俺たち
「やだよ! ぜってー荷物持ちだし〜!!」
「おいらだってやだよ!」
「お前、カナミ に好感度あげてもらいたいだろ? 行ってこいよ!」
「そう言う時ばっか言うなよ! お前行けって!!」
「いいや、お前だぞ!」
「いいや、お前だよ!」
「「いいえ、あんたら二人よ!!」」
と、後ろに二人が並んで立っていた
「「アビリティ、てん––––」」
「「はい、座標固定!!」」
俺たちはタッチされた
俺たちは【索敵】できるようになってしまった
鬼ごっこに負けたのだ
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「素直についてくればよかったのに」
「だって、面倒だし!」
「四の五の言わない!」
「…へーい」
「ねえ、スザカ。いつもああなの?」
「え、あいつ?」
「そうよ」
と、前を歩く二人に指差す
「何〜? 気になっちゃう系?」
「そ、そんなんじゃないわよ!?」
「いや〜、どうかな〜?」
「殺すわよ!!」
「はいはい…でも、恋愛対象でなら、やめといた方がいいぜ」
「別にそんなんじゃないってば!」
いや、それもあるかもしれないけど…
「カナミちゃん とライバルになるぞ〜」
「…やっぱりそうなんだ」
「まあね〜。おいら、カナミちゃん 好きだから。もちろん、恋愛対象でも、そうじゃなくても」
「それは分かってるわよ」
「そりゃそうか! じゃあ、これも知ってるか?」
「何?」
「いやさ、実はあいつ––––」
––––好きな子、いるんだよ
「え、うそ!?」
「マジだよ」
「…もしかして、カナミ?」
「いや、違う…かな〜」
「何その曖昧な答え…」
「だって、実際には『いる』じゃなくて『いた』だから」
「…どう言うこと?」
「つまり、ゲンキ が好きだった子はもう––––」
––––この世にはいないんだよ
「…死んだの?」
「やっぱそう思うよね〜!」
「…違うの?」
「違うって言い張ってるのさ、ゲンキ は」
「どうして?」
「『異世界に連れてかれた』と思ってるのさ」
「本当のこと?」
「確証ゼロさ。しかし、異世界の本は数百数千とあるから、わからないんだ。異世界のことに俺らが詳しいのはそのためさ」
「…恋愛対象なの?」
「やっぱ好きでしょ〜」
「殺すわよ!」
「興奮なさるなよ…でも、恋愛対象って言うより、妹ってところかな?」
「妹?」
「ああ、おいらもあったことがあったが、か弱いんだよ、その子。体調的に」
「そうなんだ…」
「それで…ってあれ!?」
いつの間にか、ゲンキ と カナミ がいなくなっていた
「この話はまた今度だ! カナミちゃん達を探すぞ!」
「ちょっと、待ちなさいよ!」