プロローグ
なんか、挫折の予感が……
神や仏とは、気まぐれである
死にかけの者を助けたり
犯罪を見逃したり
危ないところまでの操作をしたり
神や仏とは、気まぐれである
自殺願望な少年の命を助けたり
死にたくない者を見殺しにしたり
しつこいようだが、神や仏は、気まぐれである
あの平穏で普通な日々を、突然異世界に変え、魔物を倒すための、しかし道のりは単純な世界にしたり
俺の平穏な日を、一本の《大天使の剣》で『最強の勇者』に仕立て上げられ、その上仲間探しは自力でと言ったり
最後にもう一度言うが、神や仏は、気まぐれである
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それはある特定の人物にとって8年も前の、まだ普通だった世界の話だ
西暦 2020年
年号 平成32年
戦争もなくなり、平和といえば平和だった。
昔みたいに争うことをしなくても、問題は解決するのだ
しかし、それをひどく気に入らない者がいた
神と仏だ
彼らは
地球をつくり
水をつくり
生物をつくり
知恵を授け
生物で争わせ
争いの火種をつくり
争いを続けさせ
退屈を凌いでいた
しかし、うまく世界は争わなくなってしまった
世界は、平和を守ろうとした
神と仏は飽きた
退屈だった
つまらなくなった
だから決めた
この世界を作り直すべきだと
神と仏は、『魔物』『妖怪』をつくった
世界の秩序を壊した
4月1日 午後0時
世界は、異世界に変革された
人の記憶は改ざん、又は素材にして再形成して、《元からある世界》と記憶にインプットさせた。
しかし、紛れて《平和の世界》の住人が混ざってしまった。記憶も引き連れて…
彼らの中で、『神と仏』の存在に気づき、反乱を起こそうとしていた者がいたことも含めて、しかしそんな事を、神と仏が知るよしもなかった
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それから月日は流れ
異世界歴 2032年 春の月
『魔王』に挑もうとしない人間に嫌気がさしてきた神と仏は、あることを実行しようとしていた
《伝説の勇者》計画
その名の通り、幻に近い形で勇者を使っての冒険計画だ。
勇者はしがない平民で、前の世界で言うところの《チート》で『勇者』を最強にし、平民から王族まで、《伝説の勇者》の話を力に『魔物討伐』の心になってもらうのが目的だ
まどろっこしいようにも見えるが、面白ければいいので気にしないのだ。てか、よくある話にしたくないだけなのだ
その《伝説の勇者》計画に使った人間は、のちに本当の《天下一の勇者》になる。
運命とさえ言える物語が初まり、終わりの初まりでもある戦いの『最強勇者』と、その仲間たちの物語が動き出すのだった