第七話 ダークサス2
現れたもぐらは、土の中に潜ったり頭だけ地上に出したりと、辺りを異様に警戒している。
「あ、あれが“ダークサス”!?でも、普通のもぐらと変わんないじゃん。」
建物の陰からもぐらをまじまじと見ている夏輝に臨は、
「いや、よく見てみろ。」
と視線をもぐらに集中させる。
もぐらは、異常がないと確認したのか、穴から出てきた。
「あ、足が…。」
夏輝たちの前に現れた“ダークサス”は、上半身はもぐらだったが、下半身には足がなく、まるで蛇の尻尾ような姿をしていたのだ。
「あれはザコモンスターだな…。」
臨はそうつぶやくと、隠れていた建物から出て行ってしまう。
「い、いいのかよ!」
夏輝は臨のあとを追っていく。
「はぁぁぁっ!!」
臨はズバッと“ダークサス”を真っ二つに斬る。すると、“ダークサス”は醜い悲鳴をあげながら倒れ、黒ずみ、最後は跡形もなく消え去ってしまった。
「す、すげぇ。こんなにできるなら、お前この街救えるんじゃないのか?」
夏輝が少し興奮気味に臨を見つめる。
「いや、あれはザコだ。…それに。」
「それに??」
「この街はもう滅びた。救うこともできない…。」
臨は悲しそうで悔しそうな複雑な表情を浮かべる。
そんな臨を夏輝は黙って見ていることしかできなかった。
「…ここは危ない。一旦さっきの研究所に戻ろう。お前に渡したいものがある。」
そう言うと、臨は研究所に向かって歩き出した。
「渡したいものって?」
夏輝は臨のあとを必死で追う。
臨は夏輝の方に振り返り、淡々とした口調でこう告げた。
「未来のお前からの手紙だ。」
それを聞いた夏輝は目を見開く。
「未来の俺からの手紙!?」




