第二話 姿見
ダンボール箱を開けてみると、中には姿見が入っていた。
「な、なんだよ鏡って。俺使わねぇよ…。」
はぁっ…と大きなため息をつき、改めて姿見をじっくりと見る。
「誰だよ…こんなの送ってきたの…。」
夏輝は、姿見に送り主についての手がかりがないか探してみる…が、
「うーん…。ふつーの鏡だなー…。一体俺にこれをどうしてほしいんだ?」
何も成果が得られず、夏輝はガックリと肩を落とした。そして、ブツブツと文句を言いながら小さなクローゼットの隣に姿見を立て掛ける。
「……は?それめちゃくちゃ怪しいじゃん。受け取っちゃって良かったのか??」
翌日、さっそく友達に姿見のことを話してみるが、予想していた反応と全く同じ応えが返ってきたことに夏輝はまたうなだれる。
「だろー?でも、結局誰が送ってきたのかわかんなかってさ。返そうにも返せないし…。」
「捨てた方がいいんじゃないのか?…あ、でも彼女が来たときに役に立つかもしれないか。」
友達はおどけてそう言った。
「だからお前、俺に彼女いないこと知ってて言ってるよな?」
夏輝もそれにつられて笑う。
「でもなんか捨てるのもったいなくてさー。」
夏輝は視点を友達から天井へと変えた。
「なんだよそれー。」
友達が呆れ顔でそう言ったとたんに、ガラッと教室のドアが開く。
「はい、席つけー。」
担任の教師が中に入ってきた。
「今日、先生来んの早くね??」
夏輝はそう言いながら自分の席に戻る。
姿見の話をしたのは、これが最後となった。
「この鏡には何か隠されていたりして…。」
自宅に戻った夏輝は、もう一度姿見をじっくり観察していた。
「…なんて、そんなわけないか!」




