第一話 怪しい荷物
「ただいま。」
夏輝は、小さな部屋の真ん中にドサッと持っていた鞄を置いた。
夏輝は、最近一人暮らしを始めた。もともと両親とうまくいっていなかったため、一人の方が楽だった。
ピンポン
家のチャイムが鳴る。
「ちっ。疲れてるんだから少しぐらい休ませろよ。」
そう小さく愚痴りながら、玄関に足を運ぶ。
「どちら様ですか?」
「………。」
夏輝の呼びかけに対して、向こうからの返事はかえってこない。
「誰だよ!?」
夏輝は苛立ちを隠せず、そう怒鳴った。
すると、小さくぼそっとした声で
「荷物、置いとく。」
と扉の向こうからかえってきた。
「は?なんなんだよ、お前…。」
夏輝は、ドアの覗き穴に目をあてる。
「?なんだよ、誰もいねぇじゃねぇか。」
見た限り、先ほどの声の主はもう何処にもいなかった。
夏輝はドアを開けて、外を見渡す。
「ん?なんだこれ…。」
玄関の前には、縦長いダンボール箱が置いてあった。
「そういえば、さっき荷物置いとくって言ってたような…。でも結局誰だったんだ?」
夏輝は首を傾げながらダンボール箱を手に取る。
「確かに俺宛てになってる。でも送り主が誰だか書いてねぇな。」
そう言いながら、夏輝はダンボール箱を抱えて家の中に入った。
「何なんだ?これは。」




