第52話 ある晴れた日のこと
これにて一部完です! 第二部は近い内に出すと思います。では何れまた。
眩しい光が視界を埋める、風の幕が体を包み守られている。
キーンとする音と共に秋風が頬を撫でる感覚がする。
「帰ってきた?」
「ああ、その用だな」
辺りを見回すと海に浸かっているロボットがある。
おじいさんもグレイも医療班に運ばれたようだ。
ノベルはいつの間にか居なくなっていた。
「奏歌!」
「夕夏!久し振り〜」
夕夏が駆け寄ってきて僕の前に止まる。
身体をあちこち見てひとまず安心したようだ。
「はぁ……元気そうね」
「うん、それだけだろ?僕の取り柄」
夕夏と話し込み向こうで会った出来事や学んだ事を話す。
ハルくんは夕夏が苦手らしく治療を受け立ち去ろうとする。
「待ちなさい!今回の事は礼を言うわ、ありがとう」
「…………ああ」
頭をかき照れた用な不機嫌な用な顔をしレイさんの手を引き帰っていった。
暫く見送ったあと、手を握られる振り替えると夕夏が目に涙をため抱き締めた。
「お帰り」
「ただいま」
「…………もう、いいか?」
輝が困った表情をし立っている夕夏はバッと素早く離れ恥ずかしそうに顔を赤める。
「……お帰り奏歌」
「輝、ただいま」
「車を待たせてある、帰るぞ」
輝の声、夕夏の顔、何も喋らず楽しそうに見ている伊吹……やっと僕は帰ってきたと実感した。
帰ってきて2日が経ち、ブンと一緒に体力作りに励んでいると輝と共に鬼飼の本家に呼び出される。
来るのは二度目だけど相変わらず広い……庭に竹林がある位だ。
従者の人に連れられ広い和室にでる、恐らく姫守の当主で有ろう眼鏡をかけ鋭い目だが人の良さそうな笑顔を張り付けたオジサン、見慣れた夕夏のオジサンはいつものスーツを着用しキリッとしている。
その隣に和服姿の晃士郎さんと梓さんがいる。
「来たな、此方に座りなさい」
晃士郎さんに手招きされて隣に座る普段のちゃらんぽらんな態度とは違い真剣な顔をしている。
「お待たせしました、皆さん」
身体がハルくんより大きく柔らかい笑みを浮かべ空いていた奥の席に座った。
「煩わしい事は言いません、単刀直入に後5日………恐らく【黒の十字架】は総戦力で攻めてきます」
周りがシーンと静まり帰る、そんな事は気にせず鬼飼の頭首は話だす。
「グレイさんの話しによるとですけど………しかも分が悪いことに向こうは神鬼クラスを所持したエミティとそしてほぼ完成品に近いエミティ・ドール………我々はともかく表に被害が出るのは良く有りません」
ここで一息つきお茶をすすり、また話しだす。
「どうやったか知りませんが向こうは完璧に次元を渡れる術を手に入れた用です……そこです!」
何処からともなくホワイトボードが出現し出かでかと《敵将撃ち取り作戦!》
書かれている。
「今から言うメンバーはロクフォールさんの所に行きレベルアップ!!敵の本拠地に殴り込みに行ってもらいます!」
突然雰囲気が変わった当主はニコニコしながらいう。
「では婿くん!伊吹ちゃん!夕夏ちゃん!あと……奏歌くん?かな?決定!」
輝が静かに頭を下げ僕もそれに続く。
「期待してますよ〜、奏歌くんは無理しない用に輝が守ってくれますよ」
「はい」
「では、失礼します」
輝が無言で本家から出る僕もそれに続き、森さんが運転する車に乗り込む。
暫く沈黙が続くが不思議と雰囲気は穏やかだ。
「………すまん」
「え?」
輝がボソッと呟く、僕はしんそこ間抜けな顔をしているだろう。
「なにがさ?」
「お前をこんな事態に巻き込んで………直ぐに戻せる予定だったのだが」
「気にしてないよ、それに楽しいしさ……正直巻き込まれて良かったと思える………皆に会えたしそれに強くなれた」
僕が言ってることは本当にそう思った、毎日続く平凡だけど平和な日々、どこか冷めて退屈に思えた。
「そうか……今更ながら変わってるな奏歌は」
「うん」
車は車庫に入って行き、ゆっくりと庭に入っていく庭にはおじいさんと伊吹、夕夏が来ている。
「うむ、来たの……話は聞いておる、ワシの真の能力でお主らを鍛える」
おじいさんが指を鳴らすと周りがドヨンとした空気になり大量のドアと階段が現れる。
「幻想世界・ディクテータ、お前さん達に必要なドアだけ開く、何が起きるかわからんからの」
「じょーとーよ!」
「楽しみだね」
伊吹がフッと笑い、陸絶を出しゆっくりと歩みだす、階段を歩み三段目のドアが開く。
「皆お先」
光の盛れるドアにゆっくり入る。
僕達三人も顔を見合せ、階段を登るそれぞれ選ばれたドアに入っていった。
僕は最後に少しだけ振り向き空を見上げた、日本晴れの蒼い空を目に焼き付けドアをくぐった。
一部 完
魔法機械ライフチェンジー〜血塗れの十字架〜に続く!