第45話 バスジャック?!
昨日の一件から一夜経ち、未知の敵だった【黒の十字架】は正式にエミティと呼ばれる様になり、エミティ・ドールの対策もエースクラスの人達で対策をねりはじめた。
『ふむ、コゾウもだいぶ闘い型のバリエーションが増えたな』
「かもね、やっぱり力が無い分手数とスピードで闘うしかないしね」
特訓を終えて、お昼からはフリーなので街に出てきた。
『ふはは!ガチャガチャ!やはりいいものだ』
「あっ、ちょうど今のでコンプリートしたよ!」
千円分で全種類を揃える、ブンの運の良さがうらやましい。
「やぁ奏歌、奇遇だねぇ」
「あ、隼人久しぶり〜?」
ブンはあわててステルス迷彩?になりリュックに入る。
「意外だね〜君がこんな物に興味をしめすとはね」
「へ?」
ブンは中身に興味はなくガチャガチャをするので、気にしては無かったけど今していたのは美少女のフィギュアのシリーズだった。
「こ、これは……はぁ」
ヘラヘラ笑った隼人はこの顔の時は何を言っても、受け付けませんと言いたげだった。
「君はなにしてるの?」
「ふふ、さぁね」
中途半端に伸ばされた黒髪が右目だけ隠れている。
「それより、かき氷食べにいかないか?僕が奢るよ」
「本当!いくいく!」
隼人と一緒にかき氷を食べに行く。
「バスで行くんだ、この前見つけた」
「ふ〜ん、期待出来そうだ」
バスが車で休み中の出来事を話し合う。
「へぇ〜、大変だったね」
「そうでもないさ、妃那が煩いからな、しておいて損はない」
そんなこんなでバスが到着、運賃を払い丁度空いてる前の席に座る。
「10分くらいで着くよ」
「わかった」
バスの揺れとクーラーの心地好さでつい寝てしまった様だ。
「大人しくしろ!」
「ひぃ!」
……なんだか騒がしいな。
「ふぁ〜着いた?」
「あぁ?!」
カチャリと黒光りする銃を僕に向ける覆面さん。
「へ?!」
「おい!早くいけ!」
「はぃ!」
状況を飲み込めず混乱する。乗客たちは皆一番後ろの席に追いやられ、たまたま一番前にいた僕と隼人が人質になったようだ。
「運がないねぇ〜どうやらバスジャックの様だね」
「そ!むぐっ」
「騒いじゃいけないよ……」
そんなぁ!今日は厄日?
「てめぇらも、一緒に殺してやる!」
覆面さん興奮気味で上着を脱ぎ丁重に立たんでから僕達に向き合う。
「爆弾?!」
「やれやれ、ついてない」
覆面さんは身体にダイナマイトを巻き付け運転手に銃を突きつける。
「お着きましょうよ!」
「うるさい!」
バンと音が響き、大学生ぽい人が撃たれた。
「うぐっ」
足を撃たれたらしくうずくまって、沈黙する。
「っち!」
満足そうに銃を仕舞うが、パトカーの音が聞こえてきて舌打ちをする。
「誰が通報しやがった!まぁいい!てめぇらも死ぬのはかわらないしな」
銃を振り回し、乗客を脅す。
「なんとか出来ない?」
「おいおい、無茶言わないでくれよ」
覆面さんに気付かれ無い様に話す。
「………囲まれたね」
バスは完全にパトカーに囲まれ交差点で止まった。
『犯人に継ぐ!速やかに!』
「うるさい!だまれ!」
説得する警察官に発砲し黙らせる。
「おい!そこの赤髪の男?女?どっちだ?!えぇい動くな!」
「僕は男です!」
僕に銃を突きつけ、立たせる。
「あの人の手当てくらいいいじゃないですか!」
「妙なまねしてみろ!」
僕を放し、男性の前に行く。
「大丈夫ですか?」
「なんとかね、っ!アリガと」
隼人が持ってたハンカチで血が出ないように縛る。
「あの人無事だった?」
「うん」
覆面さんにつれられ、席に座らさせられる。
「ごほ!ごほ!くそ!」
「大丈夫ですか?!」
覆面さんが突如むせはじめて、血を吐く。
「はぁはぁ、触るな座ってろ」
「でも」
「ありがとな」
しばらく胸を押さえた後、立ち上がり銃を見せつけ脅す。
「ねぇ、あの人」
「……余計な事は考えないほうがいいよ」
こう言う時の隼人は何故か冷たい。
「でも」
それきり黙ったまんまで、沈黙する。
(はぁ〜誰か助けてくれないかな)
そんなこんなで日は沈み初めて、バスの中は薄暗くなる。
「奏歌……あの覆面を救いたいならちょっと手伝って」
「え、うむぐっ」
また口を塞がれ注意される。
「僕が囮なるから、銃を奪ってくれ後はまぁ、なんとかなるでしょ」
「危ないよ……僕が囮になるよ!」
また口を塞がれ注意される、今度はデコピンつきで。
「心配ないよ、僕の言うことは全て正しい」
「自信過剰な奴!」
丁度、後ろを向いてる覆面さんに体当たりをする。
とっさのことに気が動転し椅子にぶつかる。
「このガキ!」
「おっと、よそ見はいけないな」
僕に気をとられてる間に、隼人が銃を奪って窓から外に捨てる。
「くおぉ!ごほ!はあはあ」
「無理しないでください!」
思った通りに覆面は力がなく簡単に押さえれた。
「くそ!まだ爆弾が」
「君!これ使って!」
さっき助けたお兄さんがお茶の入ったペットボトルをなげわたし爆弾にお茶をかける。
「チェック」
すぐに警察官が突入し、覆面さんを取り押さえた。
「ぐつあ!はぁはぁはぁ」
「覆面さん!」
手錠をかけられ、パトカーに連行される。
「君が犯人確保に協力してくれたのは、お礼がしたいこちらに」
「は、はぁ隼人?あれ?」
隼人は辺りに居ない待たせるのも悪いのでメールで現状を送り警察官についていく。
〜〜〜〜〜隼人〜〜〜〜〜
僕は事情聴取を受け終わり連れて行かれる前に覆面の前に立つ。
「さっきのガキか……なんのようだ!」
「……………これ」
一枚の紙を渡す。
「口と性格は悪いが頭と腕はいい医者がいる……まだ3年あるだろ?」
「はっ、てめぇに!ぐっ?」
僕は軽くパンチをお見舞いしてやり、胸ぐらを掴む。
「お前みたいに直ぐに諦める人間は嫌いだ………まだ3年もあるだろが」
「っ!なんでそこまで?」
殴られた頬を押さえながら、パトカーにもたれかかる。
「僕も昔はそうだったからだ、でも後半年しか生きられない癖にバカみたいに頑張ってる奴を見て……いや、いい」
「……………そうか」
覆面はパトカーに素直に乗り、連行された。
〜〜〜〜〜奏歌〜〜〜〜〜
「おーい!隼人!かえろー!」
僕はお礼の高級すし店の食べ放題券を持ってベンチに座ってる隼人に話かける。
「うん、お寿司よかったな」
「はい!妃那さんと食べに行って!」
僕は二枚の券を隼人に託しパトカーに送って貰って帰った。
〜〜〜〜〜隼人〜〜〜〜〜
パトカーに乗り込み見えなくなる奏歌に手を振り、家に入る。
「ただいま」
「おかえりー!遅かったね!」
若竹色の髪をミツアミにし赤い縁の眼鏡をかけ車椅子を凄まじいテクニックで運転している少女が出てくる。
「いろいろあってね、よいしょっと」
「ちょっと!なにしてるのさ!」
僕は妃那を抱えて抱き締める。
「少しだけ……………うん」
「何に納得したの?」
「別に、お寿司食べに行こっか」