第43話 式神
夏風邪には気をつけないと(涙)。
夏休みの宿題を終わらせ(ほとんど輝に助けられた)、このまえ買った式神セットを使ってみる。
「せっかくだし、使ってみるか」
本を開き使い方を読む。
「……………なるほど、イメージかぁ」
<難しい理屈や技術はお札に入力済!ちょっとした霊力があればあなたも式神マスター!貴方のイメージでオリジナルの式神を作ろう!なおこの商品は戦闘には向きません>
「式神かぁ〜」
『コゾウの式神のイメージをそのままに具現化すればいいではないか』
ブンがアイスを食べながら、覗き込む。
「やっぱり青龍とか朱雀とかがスタンダードなのか?」
『う〜む、蜘蛛や蛾』
「虫は苦手だよ」
ブンの口についたアイスをティッシュでふいて、取り敢えず一枚使ってみる。
額にお札を当ててイメージ。
(カッコいい青龍にしよ)
パッと緑の光が現れ、じょじょにシルエットが現れる綺麗な青色の鱗に黄色の角に細い…………あれ?!妙に短いぞ?!
〔ぎゃお〕
「…………青色のトカゲ?」
『くくっ?!コゾウお前の霊力が足りておらんぞ?』
どうやら霊力が足りてないらしく青色のトカゲになって閉まった。
「まぁ、成功しただけマシだよ」
トカゲ君はしばらくして、緑の煙と共に消えた。
「う〜ん、最近霊感に目覚めてきたポイのになぁ」
『うむ、我輩に使わせてくれぬか』
ブンにお札を一枚渡して、机の上に置く。
『む!』
またも緑色の煙がたち、コウモリが出てきた。
『ふふふ!よし!式神よ!合体だぁ』
〔キィー〕
ブンが手を横に付きだし、勢い良くジャンプ!そのままコウモリはブンの背中に引っ付く。
「おお!空を飛行できる!」
『ふはははぁ!はぁ?!』
式神の効力が切れ、地面に向かって落ちるブンをあわてて受け止める。
「危なかったね」
『うむ』
その後も色々な方法を試したが漫画なんかで見るような式神にならなかった。
「むむ!ダメか」
ブンは三枚目で諦め、テレビを見ている。
僕は相変わらず、人を乗せれるサイズの式神を出そうとがんばる。
「なにやってるんだ?」
「輝、式神の出しかたわかる?」
輝は買い物袋をテーブルに置き、お札を前に投げる。緑色の煙と共に雀蜂の二倍の大きさの蜂が出てきた。
「コツって言われると、良く解らん………カンかな」
「カンねぇ……よし!頭に思い浮かんだ奴にしよ!」
僕は早速実戦してみる。
「どうだぁ!」
もう見慣れた光景、じょじょに煙が晴れて、そのシルエットが出てくる。
〔ジョボ〕
「亀だ」
「ああ亀だ」
普通サイズの亀が出てきた。
今度は上手くいったらしく消えなかった。
「やった、亀だ!成功だ」
「でも、なぜ亀?」
輝は冷蔵庫に食品をしまいながら、亀を見る。
「カン!なんとなく亀な気分だった」
「まぁ、色々と試して見ろ人によって式神に宿る力は変わるから」
「例えば?」
輝がさっきの蜂を出す、その蜂を見ていると突如として居なくなる。
「あれ?羽音は後ろに居る」
「コイツの能力は透明になるだ、隠密行動に適してる」
輝は腕を降ると蜂は居なくなる。
「よし!亀市!」
「キイチ?」
「もちろん!この子の名前だよ」
僕は亀市を持ち上げ、ブンを頭に乗せ庭に出る。
『亀市とやらよろしく頼むぞ』
〔ジョボ〕
ブンも亀市と挨拶を交わし、頭に乗る。
「亀市!君の力を見せてくれ!」
〔ジョボ〕
亀お得意の殻に籠るがでる、そこから徐々に赤色に変化し亀市の体から煙が出る。
「君の能力は発熱なの?!スゴいね」
〔ジョボ〕
亀市の頭を撫でてやると、くすぐったいのか頭を左右に降る。
『むむ!我輩の方が優秀だがお主もやりおる!』
〔ジョボ〕
しばらく、亀市の使い道を考えていると輝がこっちに向かってくる。
「奏歌!【黒の十字架】の魔術師が約二十人何かと交戦している俺達も行くぞ!」
「うん!亀市!ブン!いくよ」