第41話 勇者と春樹
次の話辺りで勇者様の活躍が見れます。
辺り一帯に季節外れの氷が広がり冷気が身を震わす。
「ここまでっす」
「ああ、引き上げだな」
俺はクルツに闘い方を教えて貰っていた。
「たいぶ成長したね〜私の炎にも頼らなくなったし」
レイが人型に戻り、肩を叩く。
「まぁな、よし早いとこ夕飯にするか」
俺は体に着いた埃を叩き、家路につく。
何時もの帰り道を歩いていると、人らしき物体が倒れている。
「なぁ……あれって」
「人っすね」「人ね」
ひとまず駆け寄り声を掛ける。
「おい!確りしろ」
「食べ物をくれ」
そう言い完全に意識がなくなったようだ。
俺はコイツを背負い、家まで運ぶ。
「がははは!すまない凡人!」
適当に冷蔵庫から出した食い物を摂取し、復活する。
「アンタはいったいなんなんだ?」
クルツは無言で相手を睨み、レイはソウメンを食べている。
「おお!俺様は勇者だ!」
「勇者?!」
自信満々に答え、麦茶をすする。
「ゆ、ゆ、勇者セイ・コントさま?!なぜここに?」
風邪で寝込んでいたフロナが慌てて飛び出てくる。
「おお!フロナ後の二人は?」
「…………」
事情を話す。
「そうか赤髪の少年に礼を言わなければな」
「はい、ゲホッ」
咳をするフロナの背中をクルツが擦りソファーに座らせる。
「紫東春樹、ありがとう」
「好きでしてるだけだ」
俺は皿を片付けて、セイ・コントの前に座る。
「あんたもここに住むか?」
暫く考えた後で、いすから立ち上がる。
「気持ちだけ受け取ろう、俺様が居ては迷惑になる」
「なぜ?」
「俺様は裏切り者として追われている」
フロナがショックを受けて、立ち上がるがクルツに支えられる。
「そんな何故セイ様が!」
「俺様は今の組織の……いや、クロス・シャドーハートの遣り方に賛同できない」
「それは……」
クルツに支えられた体を起こし、戸惑いの眼差しを向ける。
「さて、俺様は消える……フロナお前も気をつけろ、お前も狙われている」
「…………」
何も言えないフロナを座らせ、クルツが前に出る。
「その時は俺が向かって来るモノを全て殲滅するっす」
「そうか………クルツ、フロナを頼む、そしてすまん」
セイと言う勇者は、最後に俺に頭を下げ家から出ていく。
「………どうやら、向こうも問題を抱えている用だな」
「そうね」
勇者が去った後の玄関を見て言う。
「今度あったらドアの請求しなきゃな」
ドアが壊れた、玄関を見て染々思う。