第38話 吸血鬼VS略奪者
自分で書いててノベルが怖かったり。
鋭い太刀筋が俺を襲う。
「おっと!黙って殺られるわけにはいかんな」
ギリギリのタイミングで避けてベンチから離れる。
「こいつは皆に大切にされてるからな、傷つけるわけにはいかんのだ」
相変わらず無言でプレッシャーが凄まじい、サファイアブルーの眼が俺を捉え足が震える。
「……ゆっくり、壊してあげる」
「っ!」
いきなり目の前に現れ、腕を捕まれる。
「あは、捕まえた…君には退場してもらうわ」
「なっ!?………あれ僕は何を?」
しばらく惚けていると、近くの木に抑えつけられる。
「どんな風に壊そうか……ゆっくり…串刺しにしようかしら」
指から滴る血を細い針にして首を掴まれる。
「あっう……銀王があれば」
「このまま、殺してもいいけど犯してやろうかしら」
息苦しさから開放されたものの、まともに立てなくなって頭がクラクラする。
(不味い………酸欠だ)
「抵抗しないの?」
ノベルの白く長い指が僕の横腹をなぞる。
「や、止めて……離して」
「?」
復活してジタバタ暴れて見るがノベルの方が力が強く圧倒的に抑え込まれる。
「あなたホントに女の子?」
「僕は男です……離れろ」
ノベルの腕を全力で押し退け何とか抜け出す。
「はあはあはあ………」
「ふぅ〜ん、まぁ殺ることは変わらないわ……どのみち壊してしまうもの」
妖艶な笑みを浮かべユラリと立ち上がる。
(何とかしてこの状況を打開しないと)
立ち上がり取り敢えず、山を下ろうとするが回り込まれる。
「無駄よ……」
「あっ!」
今度は完全に押さえつけられ手足を血の手錠で地面に固定される。
「諦めなさい“略奪者”もあなたの仲間も来ないわ」
「んあー!っ?!」
ノベルが僕の首筋に牙を立て血を啜る。
僕はなすすべ無く、空を見上げる事しか出来ない。
「ふぅ〜なかなか……“略奪者”の血も混じってるわね」
「ん?!がぁ?!」
ノベルが血の針で僕の左肩を指す。
激痛が走り唇を噛み痛みを堪える。
「うん……いい顔」
「うっ!っあぁ!」
今度は右足が刺され、今度は声を上げてしまう。
「ゾクゾクするわ……まだ壊れちゃダメよ」
「っ!あがぁ!」
左肩を掴まれる意識が飛びそうになるがまた激痛で意識を取り戻す。
「あはは、かわいい涙なんか浮かべちゃって」
「っ!」
また首筋を噛まれ、血が吸われているのが解る。
(なんだかボーッとしてきた、眠い)
「もう壊れちゃうの?ダメよ」
「んん?!」
口を塞がれ鉄の味がする舌が侵入する。
抵抗する力も残って居らずただされるがまま。
「もっと耐えなさい、このまま終わっちゃダメ」
「がぁ!アァ!」
脇腹を刺され、また意識が飛ぶそしてまた意識が戻るの繰り返し。
「あぅあ……あぐぅ」
「あはははっ、壊れた、壊れた!」
うっすらと眺める空は星が輝きとても綺麗だった。
(僕は死んじゃうな……せめてもの救いは空を眺めながら死ねることか)
〜〜〜〜ノベル〜〜〜〜〜
心が折れて、虚ろな目で空を眺める狩崎奏歌を私は嬉々として抱き寄せて首筋から血を全部吸いだそうとする。
「あっけないわね人間は」
首筋に噛み付こうとした瞬間に凄まじい殺気を背中に受ける。
「そこまでだ“吸血鬼”」
「あら遅かったわね“略奪者”っ?!」
紙一重で攻撃を避け、獲物から距離を取る。
「たかが人間一人に何怒ってるの?」
「黙れ……お前は僕の罪だ消してやる」
奏歌に応急所為を施し、私と向き合う。
「貴方が勝てる?」
「もう容赦はしない!本気で倒す!」
“略奪者”は手から12本の光の剣を出す。
対する私も血を凝縮し血の剣を作る。
「貴方は私の物にする!」
刃を交え幾重にも斬りかかり、距離をとり再び斬りかかる。
「まだまだ……」
“略奪者”は左手を私にかざす、直ぐに危険だと感じ咄嗟に回避する。
次の瞬間凄まじい量の黒い水晶が飛んでくる。
「あぅ!」
左腕を直撃し有らぬ方向に曲がった。
「強くなったじゃない」
再び斬りかかり、つばぜり合いになる。
今度は紫の炎が私に向かって飛んでくる。
「っ?!」
血をフルに出し縦を形成するがあっという間に蒸発する。
「止めだ」
「あ、あぁぁぁぁぁぁ!」
何が起こったかわかない、ただ全身が斬り刻まれる。
「あは♪いいよ“略奪者”私だけをみなさい」
「ゴフゥ?!」
略奪者も血だらけに成り、腹部を抑える。
「…………」
「あはははっ!」
一直線に向かって来る“略奪者”私は全身の傷から血を凝縮しニードルを一斉に発射する。
“略奪者”は私の目の前で全身に血のニードルで串刺し状態に成り止まる。
「コフゥ…………すまない」
「っ!?謝るな!」
「でも……すまない」
一気に上空まで飛び、私を海に向かって自分ごと突っ込む。
「さようなら」
その言葉と共に莫大なエネルギーの雷が私を飲み込む。
〜〜〜〜〜略奪者〜〜〜〜
「かぁは、無理しすぎたかな………早く連れてかないと」
僕は急いで奏歌の元に戻ろうとする。
「っ!」
後ろから抱かれ、振り替えると同時にキスされる。
「あはは、じゃなね好きだよ、は……やと」
「…ごめん…………さよなら」
ノベルはフラフラと飛んで行き僕は奏歌の元に向かう。
「間に合った……」
空間転移で狩崎の家に来る。
「…………遅くなったね……早く治療してあげてね」
玄関で待っていた狩人の息子に奏歌を預け僕は撤退した。