第37話 ノベル
僕は一人、羽賀山の休憩所に待たされていた。
(みんな大丈夫かな?はぁー足下がスースーする)
夏とはいえ夜は流石に冷える、背筋に寒気を感じ身を振るわす。
「あなた……が狩崎奏歌?」
「えっ?!誰?」
突然の声に振り向き辺りを見渡すが当たりは薄暗く上空は風が強いのかザワザワと音を立てている。
「むぐっ?!」
「女の子?」
突然後ろから抱き着かれ口を抑えられる。
「……ふふ、貴方を壊したら“略奪者”は一体どういう顔をするかしら」
「あ、貴方は誰?」
身体が解放され急いで振り返るが、誰も居ない。
「………名前は無いわね、一応“ノベル”って名乗ってるわ」
「っ?!」
いきなり目の前に現れる。目の前に要るのは長い銀髪の髪が腰まで伸び風で靡かせ悲しいような嬉しいような何とも言えない表情をし白く長い指が僕の頬に触れている。
「あっ………あ」
初めて本気で怖いと感じている、声も出せない位に振るえ恐怖で体が動かない。そして彼女のサファイアブルーの眼から目が放せない。
「不思議な子ね、恐怖で振るえてる癖に一歩も引こうとしない」
「僕をどうするんですか?」
僕は向かって来る、ノベルという人物に問いかける。
「………もちろん、貴方を壊す……あのバカが私に振り向くように」
とうとう目の前に来たノベルは僕をベンチに押し倒す。
(このままじゃ……怖い……助けて輝、みんな)
「………貴方は私の糧となって貰うわ」
ノベル顔がゆっくりと近付いてくる。
僕は目を瞑って覚悟を決める。
〜〜〜〜〜ノベル〜〜〜〜
私はゆっくりと狩崎奏歌の首筋に牙を立てようと近ずける。
「おっとここまでだ、あんま表の俺を苛めるな」
「貴方は誰?狩崎奏歌じゃない?」
雰囲気がガラリと変わった赤髪の少女から離れる。
「あーナンツウか俺は恐怖や強い思いが生んだブラック奏歌だな……まぁ、コイツは俺の存在なんか知らんだろうが」
「そう……人格が変わったからって死ぬのは同じよ」
私は腕を前に出し手首を切る。
「じゃあね」
血を硬化させ剣を作る。
そして一気に振り降ろした。