第34話 交渉
今は深夜の11時40分、交渉の切り札らしい僕は特に変わった事もされず羽賀山に連れてこられた。
「お、早いのもうきたんか」
一応ガムテープで口を塞がれロープで動けなくされているので見ることしか出来ない。
「……内容を早く言え…」
いつもと全然雰囲気の違う輝、背筋が寒くなる。
「……用は簡単や、“人造鬼神”の事は知っとるな」
輝は無言で頷く。
「緋口奏歌の身柄を解放する代わり共同戦線を張りたい訳や」
「………………」
輝は無言で考え混んでいる。
「どの道、あんさんらの敵に成るのは変わり無いんやし…悪い話ではないと思うで」
「協力すれば奏歌を解放するんだな」
「ああ、何分ワイ等も色々忙しい身でな」
僕は無言で背中を咲鬼に押され前に立たされる。
「奏歌!」
「…………動くな」
輝の回りにありとあらゆる武器が出現し輝は動きを止める。
「…………くっ!お前は!」
輝も咲鬼が【傀】のメンバーに驚いていた。
「ちなみに緋口奏歌に毒物を飲ませた………ワイら特性のな」
「っ………選択肢は無いって訳か」
岡村は悪どい笑みを浮かべる。
「物分かりが良くて助かるわ……ほなな」
僕の目の前から輝が消えた。
「…………直ぐに助けてやるからな」
輝はさっきまで奏歌がいた場所を見つめてから帰った。
〜〜〜〜〜幽弥〜〜〜〜〜
ワイは自宅に緋口と才鬼を置いてきてアイツの所に向かう。
「お疲れ……結果は言うまでもないよね」
「ああ、お前の想像どうりや」
相変わらず真っ暗な部屋に蝋燭を灯し本を読んでいる。
「ふふ、さぁ害虫駆除の始まりだね……ステージは綺麗にしないと♪」
「相変わらず訳の分からん奴やのう」
コイツと出会って百年になるが未だにコイツのテンションが分からん。
「で、【黒の十字架】への牽制はどうするんや?」
「それは雨宮とガイラそして」「天津と椎名それとクードに行って貰えばいいちゃうん?」
「そーだねー戦力的にも僕と君そして才鬼が居れば申し分ないしね」
長い前髪を払いつつイチゴオレを飲む、我らがリーダーに少し疲れつつワイは家に帰った。
〜〜〜〜〜首領〜〜〜〜〜
「幽弥は期待どうりの仕事をしてくれるね……問題はノベル…君はよっぽど僕の邪魔したいみたいだ」
白コートは一人ブツブツ呟く。
「全くふざけた吸血鬼だ……でも…奏歌を育てるにはいい機会だ、君の事をちょっと好きに慣れそうだよ」