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第28話 許せないこと

視界は煙幕の用な物で防がれ、地面から出てくる土の刺を避けるので精一杯だ。

『まずな……コゾウ!後ろだ!』

「くっ!?」


地面から出てくる土の刺を辛うじて回避し、煙幕に向かって走り出す。


「ディノ!いまだ!」

「あいよ!任せな!」


煙幕まで後一メートルの所で、ダガーを両手に構えた青髪の少年が凄い早さで向かってきた。


「なに!?は、はやぃ!」

「貰った!」


ディノがダガーで僕の首を切り裂こうとする寸前に朱色の火柱がディノに遅いかかる。


「うあっち!?クソ!」

「ソウ!」

「大丈夫だよ!」


ディノはまた煙幕から出て姿を隠す。


『いかん!一撃離脱の戦法か!』

『春樹!さっきの青髪の能力は単純なスピードを上げるだけの魔術だと思う』


ブンとレイの状況説明を受け、何か作戦はないか模索する。


『くるぞ!』

「よし!ブン行くよ」


銀王に磁力を纏わせ、磁力移動で勝負する。


「甘いな!」


目の前に土の刺が出てきて体のあちこち掠める。


「っ!まだだ!」


痛みを堪え、攻撃を仕掛けるがスピードを強化する魔術を使うディノのスピードについてこれず、交わされる。


「調子に乗るな!」


朱色の炎を纏わせた、大剣を振るうが炎が掠める程度に終わる。


「くそ……あのガキ時間が過ぎる毎に早くなってやがる」

「うん……責めて何処から来るか分かれば」


お互い背中会わせに立ち、警戒をするがなかなかディノが出てこない。


「………っ!くそ!」


火柱は煙幕に当たり拡散するだけでヒットしなかった。

『奴等は単体では対した力は持ち合わせて居らん……だかこのチームワーク厄介だ』

「かもね……でも!」


音を頼りに大体の位置を把握して銀王を振り抜く。


「ぐっ?!俺のスピードに着いてきた?」

「こんな事で……負けるような努力はしてない!」


すかさず離脱使用とするが、豪火が迫り左腕に直撃する。


「ぐっ?!あがぁぁ?」


追撃を試みるが土の刺が道を阻み、断念する。


「ブン!勝てるよね!」

『うむ!我輩が着いておる勝つぞ!』


銀王のサイズを普段の戦闘ようサイズの三倍にする。

「こんな煙幕!消してやる!」


銀王を振り抜き、ディノが撤退した場所目掛けて攻撃をする。


「くそ!調子にのってんじゃねぇ!」


今まで一番早いスピードで攻撃を仕掛けてくる。


「ふん!焼き付くす!」

『フルパワー!発射!』


すざましい炎の渦がディノを飲み込む。


「いくら速かろうが関係ないな」


「けっ?やってくれるね、サンキュー、フィン」


ディノは紙一重でフィンの作った土の防御壁に隠れていた。


「フィン……ソロソロだろ?」

「私達の勝ちだわ!」


突如の勝利宣言に戸惑う。「負け惜しみだな!焼き死ね……な…体が?」

『春樹!?』


僕達は突然体が痺れ、動けなくなった。


「フロナの煙幕はただの煙幕じゃないのよ!」

「そうだ!普通なら五分で倒れるのを30分も粘りやがって」


体に力が入らない………くそ!なんとかしないと。


「諦めろ、そっちの炎野郎に用はない……そこの赤髪を確保するぞ」


フィンとフロナが僕に変な文字を書いた札を張り、金縛りにされた。


『こ……コゾウ……この気配は?!鬼人!』

『春樹!ヤバい!』

「ああ、なんとかしよう」

僕は動けずにいるので、フラフラになりながら闘おうとするハルくんを見るしかない。


「ソウ少し待ってろ!レイ!」

『分かってる!』


さっきの倍はある火力の爆炎を三人組にぶつけるがディノに抱えられたフロナとフィンは呆気なく回避する。


「はっ!トロイな!」

「ガキが」


火球を乱射するが全く当たらない。


『春樹!上!気をつけて!』

「ほうぅぅ……貴公がパートナーは貴重特鬼か」

「だったら……なんだ?」

「なぁぁぁにぃ、小生のコレクションに加えるだけ…と言いたいが今は任務が最優先……」


鬼人はディノ達の方を向くと、冷酷な笑みを浮かべる。


「その少年を置いていけ……殺すぞ?」

「だぁれぇが…………ふぐっ!?」


ブシュー……グチャ。

いつの間に移動したのか、フィンの頭をつかみ潰す……脳や目が当たりに転がり無惨な姿になる。


「フィン……フィン…お前!」


ディノが鬼人に殴りかかるスピード強化の最高値のはずのパンチをあっさり受け止める。


「小生名は、天津と申す、お前ではない!」


グッチャ……ボキボキ。

右腕が砕かれ潰れて肉の塊になる。


「ぐぁぁぁぁぁあ!フロナ!逃げろ!」

「あっ……あっ…あっ」


フロナは完全に恐怖に支配され、動けないでいる。


「ちなみに小生の鬼術は圧縮だ」


ディノはフロナを突飛ばし、間に入る。


「ごっふ………」


ボキボキ……グッチャ…クチュ……ブシュー。


ディノは腹部を圧縮され、内蔵をすべて潰され上半身と下半身がちぎれた。


「おぇぇぇ!はぁ、ぶぉおぇぇぇ」


フロナはたまらず嘔吐し、僕も吐きそうになるのを我慢する。


「ふむ……かたずいた後は小娘だけだ」


フロナは動けない僕の隣まで来て、ボロボロ泣きながら僕に薬を飲ませる。


「お願い……さっきまでは敵だったのに頼むのは変だけど私は殺されてもいい………だからディノとフィンの敵を取って頂戴…お願い」


フロナは僕に土下座をしながら頼む。


「体が動く……わかった…今回ばかりは本当に頭がきた!敵はとります!ハルくんにも飲ませて上げて!」

「う、うん……」


僕は銀王を構え、天津と対人する。


「ふむ、貴公も小生に歯向かうか……楽には殺さんぞ?」

「………あなたこそ!絶対に倒します!」


最初に仕掛けてきたのは天津だった。


「潰れてしね!」

「こぉのぉぁぁぁ!!」


体が暑い……力が溢れる……頭がクリアだ。


バキィ!


「む、なんだ?少しはできるな…」

「うぉぁぁぉぉ!」


全て紙一重で交わす、すざましい恐怖感よりも天津を倒したいと思う心が強かった。


「うむ、やっかいな奴だな貴公は!」

「絶対に勝ってフロナに謝らさせてやる!」


自分の力を出しきり、天津と対等に渡り合う。


「この!この!倒れろ!倒れろーー!」

「こんな、ことが!」


『コゾウ!決めるぞ!』

「うん!これでラストだー!」


銀王に磁力を纏わせ、地面に磁力を浴びせる。


「今さらなにをしようが、小生は負けんぞ!」


天津の殺気が増え空気がピリピリする。


「雷・桜・閃・花!!」

「潰れ死ねぇーーー!」


磁力で加速し、上空から銀色の輝きを放つ銀王をふりおろす。

対する天津も地面を蹴り、圧力を限界まで纏わせた両手をつきだした。


「小生の勝ちだー!」

「これで………ダウンだ!」


圧力を纏わせた両手を銀王でなぎはらい、懐に潜り込む。


「ば、バカな!」

「僕の!勝ちだー!!!」

落下のスピードと引き合う力をのせた<雷桜閃花>を腹部に受け、天津は動かなくなる。


「はぁはぁはぁ……勝った」

『よくやった!コゾウ!』

薬の効果が切れたのか、途端に体が動かなくなる。


「ソウ!たく、対した奴だよ!」

『やったね!赤いの!』


ハルくんが僕を抱えて、壁に座らせる。


「敵は取りました……」

「あ……ありがとう」


フロナは僕に礼をいい、ハルくんにディノとフィンの火葬を頼んだ。


ブォン……。


「おいおい……負けとるやん!なっさけないのう!」

「岡村幽弥!くそ!体が」

まさかの増援で、闘いに挑もうとするが立てない。


「くっ!ここは俺が……」『任せて!』


すかさず、ハルくんがレイを構えるが岡村幽弥は無視して天津を背負った。


「安心しいや、今日は用事があんねんアンさんらの相手はまたこんどな」


ブォン…。


空地は静けさを取り戻し空間魔術でできた灰色の空と泣きながら火葬される二人をみるフロナだけだった。

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