第27話 久しぶりの休日
あの一戦から二週間、これと言って事件もなく魔除屋の仕事をこなし、久しぶりのフリーだ。
「休みっていってもな〜、やることないな」
『コゾウ!我輩は人間の街を見たいぞ!』
ブンがペチペチ頭を叩き、せがむ。
「……そうだね、久しぶりに買い物でも行くか!」
僕は早速、出かける支度をしリュックに銀王とブンを入れる。
『我輩の後に続け!』
実際に移動するのは僕で、ブンは運ばれるだけである。
街について、取り合えず駅前にくる。
「どこか、行きたいとこある?」
僕は怪しまれないよう、ケータイを使い通話しているフリをする。
『うむ……でぱーと、に行きたいぞ』
「ん、わかった」
デパートで色々な階を回る、ブンは色々な物に興味を示しハシャギまくる。
『ガチャガチャ……あれは良いものだな』
「あはは、よかったね」
特に興味を示したのは、ガチャガチャでなんのキャラクターかわからないガチャガチャを三回もさせられた。
「あっ!そういえばお金下ろさないと」
さっき気付いたけど、サイフに二千円しか入って居なかった。
たまたま近くに銀行があったのでお金を卸す。
「一万円くらいでいいか……えぇ?!二百三十万振り込まれてる!?」
『ふぁ〜、コゾウどうでもいいが次にいこうぞ』
僕は取り合えず、輝に電話したら僕の給料らしい、奮発して五万円卸す。
『ふむ、しかし人間が多いの』
「まあね、休日だしね……あそこに要るのは才藤さん?」
僕は学校で見慣れた、紫髪の女の子に話かける。
『どうでもいいが早く、水族館とやらにイルカを見に行くぞ』
「うん、でも一人で行くのは寂しいし咲鬼も誘おう?」
僕は小走りで咲鬼に駆け寄り話しかける。
「こんにちは、何してるの?」
「…………これ」
僕に紙を見せた。
チラシには僕達の行く水族館の近くにある、和菓子屋“園”があった。
「あ、ここね!苺大福おいしい所だね」
「うん、貴方は?」
「僕はイルカショー見に行くんだ!で君を見掛けて暇だったら誘おうと思ったんだ?」
相変わらずの無表情で、僕の顔をジッとみる、僕は顔を赤くする、美少女に見つめられたらね。
「………………私もいく」
「よし、行こう!」
僕達は電車で五分の萩谷水族館に着いた。
「…………あれ?」
咲鬼が僕の服を引っ張り、指をさす。
「ハルくん?!とダレ?」
おみあげコーナーから出てきたのは、不機嫌オーラ全快のハルくんと緑の髪のロングをサイドテールにし、ハルくんの腕に抱き着いて、キーホルダーを選んでいる。
「おーい、ハルくん!」
ハルくんはビクッと反応し、ゆっくり僕達の方を振り向く。
「ソウ!?なんでいるんだ……ああ、デートか」
僕と咲鬼を交互に見比べ、納得する。
「……………えぇ?!デートなのかな?」
「…………状況はそう」
咲鬼は慌てた様子もなく、平気でデートと言った。
「ハルくんは?」
「俺は
「デートよ!」じゃないだろ!」
レジから帰ってきたサイドテールさんは、またハルくんの腕に抱き着く。
「レイ!勘違いするような、事を言うな!」
普段は取り乱したり大きい声を出さないハルくんでも、こう言い時もあるだな。
「それより、イルカショー見に行くんだけどくる?」
「ああ、ソウの誘いを断る理由はない、行こう」
サイドテールさんは僕を睨んできて怖かった。
「ほら、レイ自己紹介しとけ」
ハルくんがサイドテールさんの頭を撫でながら、前に出す。
「レイ・スタンフィールド」
「緋口奏歌です、よろしくね」
「才藤咲鬼」
自己紹介を済ませ、イルカショーが始まるのを待つ。
「ねぇ?!レイさんはハルくんの彼女?」
「ち、違う!断じてな!……奴は」
僕に耳を貸せって、合図を送る。
「じつは……アイツは俺の武器だ……狐の面を着けた奴に渡された」
『うむ、我輩も人間ではないときずいていたが』
リュックから頭を出して、会話に加わる。
「すごい!春樹!ほら!」
レイさんはハイテンションで春樹を引っ張る。
「ホントだ、凄いな」
前から二番目というポジションを獲得した僕達はイルカの芸を間近に見れて良かった。
「……………あっ」
咲鬼も何処と無く嬉しそうな顔をする。
気のせいかな。
バシャン。
「うへぇ!?冷た……っ?!」
水を掛かってしまった、僕は咲鬼の方を見ると服が透けて、下着が見えている。
「………………気にしない」
「気にします!」
僕は着ていた、上着を咲鬼に着せさせた。
ショーも終わり、水族館から出た。
「はぁ、レイ」
「まっかせなさい!」
人気の無い場所でレイさんは刃が朱色の大剣に変身する。
「わ、わわ!咲鬼は一般人!」
「なに?!えっとその!」
咲鬼は特に動じた訳でもなく、武器かしたレイさんを写メでとり、僕達も続いて取った。「……………気に入った」カシャカシャと写メを撮る。
まぁ、なにはともあれ何とかやり過ごした僕達は、和菓子屋“園”に行く。
「苺大福五つ、芋羊羮一つ、みたらし団子十本」
咲鬼は早口で注文を済ませると、注文された品が出てきた。
「はい、咲鬼ちゃん♪」
どうやら、良く利用しているらしい。
店を出た頃には、程よく空はオレンジ色に染まっている。
「帰るか、レイ修行の続きをするぞ」
「うん!」
また、ハルくんの腕に抱き着いて嬉しそうな顔をしている。
「僕達も帰ろう」
「…………………うん」
また、電車で羽賀市に戻り咲鬼は車の迎えが来ているというので先に帰った。
「はぁ、離れろ!」
「いや!」
僕の隣で攻防戦を繰り広げながら、商店街を抜け人通りの少ない所にでる。
『む、コゾウ!邪鬼じゃないが何か来るぞ!』
「春樹!敵よ!」
僕は銀王を取りだし、ハルくんはレイさんを武器化させる。
すぐに夜の風景は黒色から灰色になり、地面から鋭い土の刺が飛び出す。
僕達はそれを避けると、武器を構え辺りを警戒する。
「む、あれを避けちゃうか……次だ!フロナ!」
「了解!」
どからか声がして、僕達の回りを煙幕が覆う。
「なんだ?相手は【黒の十字架】か?」
「なんであれ…敵なら焼き殺すだけだ」