キアラン 9
フィオナは、ハンナと俺が言い合っているのを見て小さく笑った。笑ってしまったのに気づいて、口を押さえて顔を赤めらせた。
ハンナと俺はお互いを見合い、小さく笑った。
「もう、泣かないのよ。折角綺麗な顔なのにもったいないわ。」
「……はい」
あとな、敬語じゃなくて良いんだぜ!どうせ知り合ったんだから。
「でも…」
「良いの良いの。私のことは、ハンナって読んでちょうだい!」
俺のことはキアランって呼べよな。
「あの……どうせなら、私のこともフィオナって呼んでもらっても良いですか…?」
もちろん!
「私も良いわよ。どうせ知り合ったんだもの。折角だから。」
ハンナは、珍しく優しい。もうちょっといつもならきつく言うのだが、まあ、気が合うならいいか。
「あの……これもっていてもらえませんか?」
彼女は腰に掛けている小さい鞄から取り出して、おずおずと差し出した。
「「石?」」
見事にハンナと声がかぶった。
「簡単に言えば石です。天界で使われている物です。石によって能力も違います」
どこからどう見ても、ただの丸い白い石であるからであるからである。
「この石は何の能力があるの?」
「えっと……それは言えません。でも、貴方方には害は無いです」
ハンナはフィオナの手から、ひょいっと石を取る。そして、それをじっと眺めている。
俺も、フィオナの手から石を持ち上げる。
「ふぅん?」
ハンナは石に対して警戒しているようだ。なんせ相手は天使だし、もしかしたらオレ達の力が弱まる物かもしれない。だが、俺は石を観察して見たが、天使の魔力を感じるだけで何も無かった。
「そんなに警戒しなくても良いですよ。貴方方は敵じゃないし、ましてや悪魔でも無いでしょう?」
俺とハンナは、顔を見合わせる。