キアラン 7
彼女はどういう状況で泣いていたのかも分からず、すっきりしていない。
このまま、帰るわけにも行かず、彼女が起きるまで待つことにした。
「おいっ。こっち来いよ。」
ハンナは、反抗することもなくよってきた。
「なによ?」
「どうなんだよ?この子の様子。なんか問題ありそうか?」
「う~ん。今のところは特に問題ないわ。」
「ふ~ん。そっか」
その一言を聞いて、少し安心する。俺のせいで死なれても困るからな。
俺らは、彼女が起きたときにびっくりさせるのも悪いと思って、少し離れた場所に行って様子を見ることにした。
「そういえばさあ。おまえ、何のようだったんだよ?」
「えっ?」
ハンナは、少し驚いたようにして言ったが、すぐに応えた。
「な、なんでもないわよ!た、ただ……」
ちょっと、顔を赤めらせてそっぽを向いてしまったハンナ。
「?」
そんなハンナの事を不思議に思いながら、彼女の方を向いた。
すると、ゆっくり起き上がろうとしている彼女がいた。
「…………ここは、どこ…?」
彼女は、きょろきょろと辺りを見渡している。
そんな彼女の様子を見ながら、俺は近づいていった。
「よおっ!」
「!」
びくんっと大きく体を震わせた彼女は、恐る恐る俺のほうを振り返った。
彼女は、青ざめた顔で俺のほうを見ている。攻撃されたのが自分だと分かっているのだろう。ひどく怯えていた。
「……だいじょうぶだって。なにもしねぇよ。俺は、キアランって言うんだ。」
「…………」
まだ、俺の事を警戒している。
「名前は?」
「…………フィオナ…」