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キアラン 6

 ……やっぱだめだな……。あいつにきてもらわねぇと。さっきの爆発音で、扉間にいたら何かあったって気づいてるだろ。早く来いよなぁ……。

 俺は、少女をまじまじと見つめた。

 彼女は、白いベールを着ている。下にはワンピースを着ており。やはり、それも白だ。ここまで白だと、天使の可能性は高い。

 いままで、たくさんの天使に攻撃をしたりしてきたが、ここまでの傷になったのは初めてだ。いじめてきた中では、怪我をしても擦り傷が少しあるだけだったが、ここまで大きな傷を負わせたのは初めてだった。

 でもなぁ……。っていうか、泣いてるから手加減までしたのに……。どんだけドンくさいんだ、この子。

 ん?涙……。この子……、ホントどうしたんだろう…………?

「はぁあ~」

 重いため息を吐く。

 それにしてもこのこの服……、結構いい服だよな。それに、この髪留め……、瑪瑙でできてるし……。ネックレスも、金でできてるし…………。も、もしかして貴族!……それなら…、偉い相手に手を出しちまったてことだよな!

「はぁあ~」

 そう思うと、先ほどよりも重いため息が出た。

 背中の傷は、治ってはいないが悪化はしていないようで、血も止まっている。

 彼女を助けたいが、何もできずに困り果てている所に、背後から声がした。

「キアラン!」

「ハンナ!やっと来てくれたばぁふぁ―――」

 声をした方を振り返って言うと、いきなり殴られた。

 赤い髪のショートカットで、眼も赤い。ハンナは、黒いドレスを着ている。だが、重いものではなく軽い物なので、普通に行動はしている。

 ハンナは小さい頃から一緒で家も近かったので、小さい頃はよく遊んでいた。だが、人間で言う十歳ぐらいのときに急にハンナの家族は違う街に引っ越してしまったのだ。それから、何回か会うこともあったのだが、会うのは久しぶりである。

「何やってんのよあんたは!私との時間に間に合って無いし、へんな爆発音がするし、何があったのよ!…………なに?この子…」

 なにがあったって……。それに、俺は時間通りに行ったぞ!

「何いってんのよ!来てなかったじゃない!で、この子はどうしたの!」

 …………じゃあ、あれだ。同じような古びた木の扉があったんだよ。

「今はそっちの話じゃない!」

 また殴られた。

ああ、えぇっと…なんか、いつもみたいにいじめてやろうと思ったけど、泣いてたから、軽い攻撃にしたんだけど、もろに当たっちゃったみたい。

「はぁ?なんで泣いてる女の子に攻撃するのよ!」

 えぇっと……。まさにその通りです…………。っていうか、本当はきっかけを作ろうと思って攻撃したんですけど、まさかこんなことになるとは思わなくて…………。

「言い訳はいいの!それで、私に言うことは!」

 ハンナは俺が何をして欲しいのか悟ったらしい。

「えっと、お願いします!この子を治してください」

「分かればそれでいいのよ。」

 ふんっ。と、鼻で笑ってハンナは女の子の方へ行った。

 俺は、ハンナがとりあえずは治してくれるということに安心し、ほっと胸をなでおろす。

 俺の作った結界では邪魔になるだろうと思い、結界をとく。

 ハンナは俺の回復呪文よりもいい呪文を言い、てきぱきと作業を続けている。

 そんなハンナ彼女の様子を、少し離れた所からぼんやりと眺めていて思った。

 ……ハンナは、攻撃呪文も守備呪文もバランスよく取れてるからなぁ。勉強もできるし、かわいいし、性格もいい。ま、他の男子から言わせれば文句なしなんだろうけど。結構きついんだよなぁ。

 ははっ。まあ、自分では仲良くやってるつもりだけど。

たまに誤解する奴もいるけど、俺とハンナは恋人ではない。ただの腐れ縁だ。まあ、そう言ったとしても疑わしい目で見られるけどな。

 そんなことをぼんやりと、思っていると急にハンナが声を上げた。

「よしっ!できた。時間が掛かったけど、これで大丈夫でしょ。」

 ハンナが、彼女の治療をし始めてからまだ五分しか経っていない。あれだけの傷だったのに。

 ……これで時間掛かったとかどうなんだよ……。これで時間掛かるんだったら、俺はどうなるんだよ!それに、傷を治す前より肌とか綺麗になってないか?

「さっすが、回復能力Sだけあるなぁ……」

 ハンナは、少し顔を赤らませてそっぽを向いた。

「ふんっ。これぐらい当たり前よ!」

 そのまま、すたすたと歩いて、俺達が見えるぐらいの離れた所で俺達を見ていた。

「…………」

 まあ、いいや。


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