キアラン 27
「やっぱり……私のせいだ…」
ハンナが言った後、一人でぽつんとそう呟いた。
(そうだ……私がキアランやハンナに出合っていなければ、こんなことにはならなかったんだ……)
フィオナはしょげて軽く肩を落として俯いた。その体制のまま、ぽろぽろと泣き出した。
だが、フィオナは泣いたのは一瞬で目に涙をためながらも、前を向いて呪文を唱えた。
(私が治療をしてあげなくちゃ!私しか治療はできないんだから――!)
フィオナは強い決心を固め、キアランの治療をした。
――ガバッ
キアランは辺りを見渡す。
きょろきょろと辺りを見渡す。そこは紛れも無く扉間だった。
「俺……なんか、分け分からなくなってそれで……」
キアランは一部始終を思い出そうとするが、ほとんど何も思い出せなかった。
キアランはもう一度辺りを見渡す。
「…………」
扉間には誰もいない。
音もしない。
何もかも無かったかのような静寂。
元どおりの扉間に戻っていた。
「傷も治ってるし……。まさか、夢?」
(いや、夢ならここにいるハズも無いし……)
「ん?」
キアランは自分の胸ポケットに一枚の白い綺麗な薄桃色の紙が入っていることに気づく。