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キアラン 23

 扉間。

 扉間は静寂に包まれていた。

「………誰もいねぇ」

 辺りを見渡すが誰もいなかった。

 ――ザッ… 

 その静寂は一瞬にして壊れる。

「誰だ」

 低く厳重な声。

 その声は俺の背後から聞こえた。その声が聞こえたため、背後を振り返る。

 そこには、白い翼の生えた。天使がいた。リーダーと思われるその人物は、三十人ほどの武器を持った天使をつれていた。その人物は金髪にエメラルド・グリーンの瞳を持っていた。それに、口元がフィオナにどこと無く似ていた。

 俺は、ハンナが話していたフィオナの父ではないか、と考える。

 その人物は、俺の顔を見て目を見開く。

「お前……、カーリーか!」

「?」

 何故か、フィオナの父らしき人物はサタンの力を持っていた人物の名を知っていた。

 フィオナの父は、驚いた顔でいたがすぐに険しい顔つきに戻った。 

 俺は、黒い翼を生やしていたため、すぐに悪魔ということは分かっただろう。そのため、

「お前は、フィオナを傷つけた悪魔か?」

「―――!」

 やっぱり、フィオナの父親か――!

「そう……俺が、フィオナを傷つけた!」

「やはりそうか……貴様からは、フィオナから感じた感覚と同じものを感じる」

 フィオナの父は平然とした様子で言った。

 そう言ってから、再び静寂が扉間を包み込んだ。その静寂を破ったのは俺だった。

「なあ……これから、地界に向かうのか?」

「…………ああ。貴様、何か考えがあるのか?」

 そう言葉を交わしてから、再び静寂が訪れる。

 俺は頭を下げた。

「どうか……どうか、地界にまでの大事にはしてくれないで欲しいんだ……!俺の問題の事だけだというのに、他の者まで巻き込みたくは無いんだ!頼む!」

 その言葉を聞いて、フィオナの父は黙った。

「貴様の心意気は分かった。だが、フィオナに対してはどうしてくれる―――!」

「それは……なら、俺をどうにかしてくれてかまわない!」

 俺は頭を下げたまま言った。

「貴様をどうこうしただけでは何もならないことだが………貴様にはフィオナと同じ思いをしてもらう!」

 フィオナの父は、天使の軍を使って俺を囲んだ。

 まさか、このまま来るとは思わなかったんですけどーっ。

 でも、しょうがない。これだけのことは自分でしまったのだから――――

「行け!」

 決心のある、フィオナの父の声を聞いたような気がした。

 ああ……フィオナはいいお父さんを持ってるな……。娘にこんなに一生懸命になって……


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