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キアラン 20
嘘……
写真に映し出された人物に驚いて、ただ呆然としていた。その人物は、知っているわけではない。
でも…――この人金色と赤色の目をしている。
コンコンッ。
ドアがノックされる音がした。爺やが呼びに来たのだろう。
そろそろ、私が勝手に外出したのを気づいた頃だろうから、父が怒っているのだろう。
「どうぞ」
「はい」
ドアの外から聞こえたのは紛れも無く爺やの声だった。
「お嬢様。旦那様がお呼びです。」
「…………そう、分かったわ。……爺や……その、お父様には私がこの部屋に入った子といわないでくれない?」
「もちろんですとも。そんな事を許した私が何か言われますからね。では、私も旦那様の部屋に同行します」
爺やは優しく微笑んだ。
「そう、ありがとう」
私も微笑んで、爺やと部屋に移動する。
私は何か引っかかるものがあったが、何か分からずにいた。